ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ウエスト・サイド・ストーリー


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おもしろー! いやあ当たり前だけどスピルバーグマジで映画が上手いな。見ていて惚れ惚れするよ。

一応『ウエストサイド物語』は見たことがあったんだけれども、こんなに面白いストーリーだったっけ? ホモソーシャルな組織と異性愛の関係が対置されて家庭を持つことが肯定的に語られる一方で、そのホモソーシャルな組織にアプローチを取るトランスジェンダーの姿もおいてみたり、単純な善悪の図式じゃなくて多重性が織り込まれていて(「アメリカ」に対する複雑な感情!)、それらのコンフリクトがが物語の中でめちゃくちゃしっかり機能してるんだよな。いやまあ元々がシェークスピアを下敷きにしてあるからそりゃまあ当たり前なんだろうし、むしろオレがきちんとそこら辺の妙味を読み取れるくらいの状況になった……というのもあるかもしれないけれども、まあ単純にスピルバーグの冴えた演出がキャラクターの内面を強く描写していた、というのもあるのだろうなあ、とは思う。今回はもうOPの長回しの映像からクッソキレキレで、スピルバーグって『タンタンの冒険』みたいに作り込んだ世界観の中でこそ威力を発揮するなーと思ったよ。ほんと映画が上手い。

いやほんと、「光と影」「金網を用いたアクション」「色による演出」みたいな基本的な文法の巧みさに目を奪われて、あーもう映画素晴らしいと思うしかないよ。あの裏口の階段を上っていくシーンとかさ、引っ張って引っ張って、最初は遠くから同フレームに入れずに、近づいたと思ったら鍵が開かずに上まで登れず、ようやく柵を乗り越えたかと思ったら視覚上階段が空間を区切って……みたいなことをバカしょーじきにやってるじゃん。ああいう基本的な映画演出の積み重ねは、ほんと見てて幸せな気持ちになれるんだよなー。

あ、あと今回のユーモアはもう名人芸だよねえ。夜なのに堂々鳩に餌をあげてるシーンとか、笑わずにはいられないでしょ……