そもそもこの作家自体の知識があまりないので、序盤はなかなかしんどいかなーと思って観ていた。フィルムの感じや本人の年齢不詳感も相まって、どういう立ち位置の作家なのかすらよくわからんかったのよね。LSDだし人脈の感じやら雑誌の感じやらで、60年代後半とか70年代前半とかの辺りに活躍してたんだろうなーと思いながらも、90年代の時間軸だし、でもそれにしてはなんかこう色々年季が入っている感じがするし……90年代のアートの映像ってなんかビデオテープっぽい絵の印象があるので、そこら辺も混乱の原因なのかなあ。
でも、途中でマンガを丸ごと一本ダイジェストするシーンがあって、そこでようやく合点がいった。作品という補助線を引くことで、やっとそれまでのドキュメンタリーの構成に納得がいった感じ。それまで風刺といわれても、コマの台詞の意味もすぐには解釈出来ないし、一体どういうウィットが含まれてるんだろうなーと思っていたんだけれども、あーこりゃLSDやって内面に向き合って欲望をそのまま表に出した作風だわ、そりゃまあ性にも物凄く興味が言った結果だよね……と。しかし、そういうだだ漏れの欲望が、こういう表現で外に出ると社会に対する風刺性を帯びちゃうってのは、なるほど考えてみるとすげーなー。