ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

調香師の手帖 香りの世界をさぐる

 

前回読んだのは生物学者の書いた本だったけれども、こちらは調香師ということで、全然感触が違ってめちゃくちゃ面白い。新聞に連載されていたのがベースなので、基本的には一般人も楽しめるエッセイという感じで、まあとにかく香りをテーマにこんなにたくさんの切り口があるのかと感心してしまう。

あとまあなにより、そもそも文章で感覚を伝えるのってなかなか難しいわけだけれども、その中でも一番語彙がピンとこない嗅覚を、ここまで豊かな語彙で表現されると、それだけでも「おーなるほど……」となってしまう。実際にどんな香りかが的確に想像できないのが本当に悔しくなってしまうよねえ。

一番面白かったのは、香りの分析方法かなあ。同じ香りを嗅いでいると感覚が鈍くなるのを利用して、マスクされない匂いを嗅ぎ分けることで、どの香りの組み合わせでできているかを探る……というのは、言われてみればめちゃくちゃ納得の方法だよねえ。

他にも、嗅覚が鋭くても組香に勝てるわけではないとか、酒の味わい方も大きく変わってくるよなあとか、色々気づかされることの多い本でした。