ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

バックコーラスの歌姫たち

 

あーこれはなかなか胸に来るドキュメンタリーだな……

バックコーラスが歴史的にどういう背景から生まれてきたか、というところから始まって、それはそれでめちゃくちゃ興味深い。話の中で公民権運動なんかはそれほど触れられていないけれども、時代的にはそういう黒人の権利獲得の流れの中で、ゴスペルをルーツにした黒人音楽が文化の中で地位を獲得していくという、アメリカの例の流れのど真ん中の話であるのだな、というのがまずある。音楽という21世紀後半の文化を担ったジャンルの中で、黒人女性は自己をきちんと主張しつつも、やはり不当な扱いを受けてきたんだな、という事実の再確認がある。そういう映画もたくさん見てきたしね。

ただ、このドキュメンタリーの面白さはむしろその後にある。年を重ねていくバックコーラスの歌姫たちが、どのような人生を歩み、音楽とどう向き合っていったか……というのが、それぞれに語られるのが、なんというか人間の生き方を強く考えさせられて浸みる。歳を取ってからのデビューで挫折したり、ラジオから流れる自分の音楽で再び音楽に本格的に取り組んだり、ミック・ジャガーに誘われてコーラスとして幸せな人生を歩んだり……最後にはロックの殿堂の話やらで、最低限の評価は描かれるけれども、その裏にはどうしたって、評価されずに音楽と距離を取った人達の姿も見えるわけで、それは芸能である以上仕方ないことではあるのだけれども、なんつーか、ほんとに考えさせられますよね……