ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ジェニーの記憶

 

えーこれ主人公が監督の名前ですか。いやー、いやー、いやー。こりゃまたしんどいなあ……

最近ジャニーズの問題が世の中を賑わしてますけれども、まーこれも要するに同じグルーミングとよばれるヤツですね。ただポイントはかなり当事者の目線・被害者の目線に寄っているというところで、トラウマ含みの過去を回想形式で辿るものだから、正しく「信頼できない語り手」の紡ぐストーリーになっていると。真相・確信になかなか辿り着かないストーリーテリングは、主人公自身の葛藤になっていて、いやはや、自分の過去を見つめて相対化することってのはこりゃまあしんどいよなーと思わされます。告発に対して心ない言葉がガンガン飛び交う昨今ですが、こういう作品を観ていれば、少しはマシになるんじゃないかなあ、みたいなことも思いますね。そういう意味で、監督も自分自身の出来事としてこの作品を撮ったのだろうけれども……

しかしまあ、正常性バイアスとでもいえばいいのか、自分を正当化したいという欲求は、人間にとってかなり根源的なものなんだろうなあ。現代において、敵に勝利することだけじゃなくて、自分の弱さや過ちを認めることは、やはり大変重要なことだし、こういう作品を通じてその意味を肯定的に描くことは、大事なんだなあと思わされました。