ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

神々の山嶺

 

神々の山嶺

神々の山嶺

  • 堀内賢雄
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いやまあ確かに素晴らしい映画であることはわかる。あの原作を90分にきちんとまとめてとても丁寧に良い作品に仕上がっている。コロナ禍で引きこもっていたので仕方ないことではあるんだけれども、この美しく迫力のある映像を劇場で見られなかったのはスゲー残念だな……とは思う。思うよ。思うんだが、しかし……

小説版→マンガ版と辿ってきた自分からすると、どんどん「神々の山嶺」っぽさが薄まっているような感じがしてしまうのも、また事実なんだよなあ。それはもちろん表現媒体の性質もあるのだろうけれども、それだけで説明できるもんなのかなあ。小説版の、しつこくコッテリとした内面描写って、「なぜ山を登るのか?」という問いかけに対する格闘として、重要だと思うんだよなあ。コミック版も、谷口ジローにしてはここまでやるの? というくらいは、ポイントポイントで内面を表現してた気がするんだよなあ。もちろんアニメの芝居や、あるいは美術全体で、内面を暗に示す……というのは正攻法で正しいのだろうけれども、しかし山登りにとりつかれた人間の情念みたいなのは、やはり泥臭くても、言語を通した思考によって表現して欲しかったなあ、みたいな感じはするんだよなあ。

なんか登場人物がみんなストイックな「英雄」って感じでさ。そうじゃなくて、もっと情けなくて弱音を吐いたりするところが、原作の魅力だと思ってたりするワケよね。いやまあ、直接的な真情の吐露をそのまま映像にしたらクサくなっちゃうのは、邦画とかを見ればわかるんだけどさあ……しかしなあ……