ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

悪い奴ほどよく眠る

 

いやー、面白いけど変な映画。リアリズムに寄った社会派……みたいな題材を扱うのに、展開がヤケに戯画化されているというか、形式化されていてリアリズムに寄らないのは、黒沢明ならではだなあ、という感じがする。あのカバンにお金を入れて知らんぷりする長回しのシーンとか、めちゃくちゃ凝っていて最高なんだけれども、どう考えてもアレ、コントじゃないですか。観客の笑い声入れたら「笑ってはいけない」のシチュエーションだよなあ。

一方冒頭の結婚式シーンはなるほど確かにコッポラが言うだけのことはあるなあ、と思うし、ラスト手前の居場所の伝達とかのシーンもそれまで好々爺っぽかった義理の父親が突然キレモノの説得力ができて感心させられた。ああいう瞬間的なシーンの面白さは、やっぱりさすがだなあ。三船の退場シーンを描かないみたいな大胆な編集も大変よろしい。まあ、そこら辺はやっぱりギャグっぽさと紙一重で(ウェディングケーキの薔薇!)、だからこそ決まったときの面白さがすごいのかもしんないけど……

しかしまあ、最後にああやって「おやすみなさい」を誤って言わせてからのタイトルドーン! は最高に格好いいなあ。本当に悪いやつが画面に出てこないのはすごい。っていうかこのタイトルのフォントが格好良すぎだよね。OPのクレジットとか、文字の良さだけで画面に釘付けになってしまったよ。