ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

大奥

 

完結したんで一気に読んだけど、一気に読んだと言うよりも毎週末楽しみにしながらじっくり噛み締めて堪能しました。いやーすごいね。ほんとうにすごい。そりゃまあいっぱい賞取るわなー。

SFとして大ボラこくのがまあまず面白くて、オレそんなに日本史詳しくないもんだから、この本で江戸幕府の歴史を学んだ感が結構あるよ。あーはいはいこの事件名前聞いたことありますよとか、この偉人はこの位置でプレイするのねとか、この人知らんかったけれどもあとで調べよ、とか歴史ファンタジーとしての面白さがまずバツグンにある。

ただまあこのマンガの面白さはそれだけに止まらずに、そうやって大河の歴史を描いたときに近代国家がぐぐぐっとせり出して開国を迫ってきて、そこが家父長制となって襲ってくるところにあるよなー。鎖国中の日本はある意味女性が労働力になったことで家父長制に大きな揺らぎが生じていて、その鬩ぎ合いが大変面白い。そしてまあなんと言ってもその国家の枠組みをつくるために私的な問題が避けられないものとして描かれているのが大変良いよなー。大奥という枠組みで、将軍のリレーを描くことで、必然的にそこで苦悩するひとりの人間を描く必要が生まれて、それはそのまま男女の恋愛関係という私的な領域を描くことに繋がってしまう……という。だからこそ、男尊女卑の権化として現れる薩摩西郷隆盛との最後の対峙で、ジェンダーを偽り自らのアイデンティティにさえ迷った和宮が最後の道を切り開くのは、本当に良くできていて感動してしまいますね。

いやまあ、自分はこうやって男女入れ替えで男性のルッキズムの問題が繊細に描かれているだけでもう降参なんですけどね。いやホントに自分そういうのに弱いなー。