なんか作者が自ら自分の作品の欠点を反省している本って珍しいな。自分にはどこら辺がまずいのかしょーじきよくわかっていないのだが、まあ、後半の方がその文体もあって面白かったのは確かにそうかも知れない。作者自身も自信を持ってるだけのことはあるなあ。
しかしまあ、直近で『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』を読んで、今マンガで第二次世界大戦を描くことの意味を考えさせられたわけだけれども、この作者もまた戦後生まれではあるわけね。向こうはマンガという表現の形式もあって、作品の中に「聞いた話」としてのある種の飛躍が強く感じられるわけだけれども、こっちはどちらかというと高度経済成長を遂げた日本との連続性? あるいは断絶の中で戦争が描かれていて、そこら辺は全然感触が違うなあ。そしてオレは学生運動とかいまいちピンとこないから、作品の中でなにをどのように対比させようとしていたか、みたいなのはどこまで読み取れているのか……
まあしかし、「浪漫的な行軍の記録」で空虚な希望を巡る物語を描いて、その行き着く先がこの時代だとすると、いやーほんとキツいっすね、とは思います。こういう過去の捉え直しが、もっと社会で広く行われた方が良かったんじゃないですかね……みたいな気持ちになるな。