うーん安定の市川崑でありますね。
毎回戦後の土着の空気を背後に敷いてなるほどなーと思う映画の金田一ですが、今回もまた離島でバッチリ土着という感じでございますねー。女歌舞伎が離島で芝居小屋を、みたいなのってだいぶ感覚的に新鮮ですよねー。しかも後妻になって一家の跡取り騒動が起こっちゃうとか、うーんナイスって感じ。ビジュアル的に鐘を持ってくるパンチもたまりませんなー。映像がつよい。
まあ正直ミステリっぽさみたいなのは超テキトーで、さすがにそのトリックは無理すぎでしょ……とか、思うんだけれども、そういうのは多分問題じゃなくてそこの後ろに見える人間関係の滋味を味わう感じ、なのかしらねー。そういう意味では金田一って結構キャラ化されているように感じちゃってもいるので、そういう血肉の通った人間ドラマみたいなところでは全然グッとこないんだよなー。原作の横溝正史ってまあ確かにちゃんと社会派で心情に寄り添ったドラマみたいに読めるのかも知れないけれどもあんまり読んだこともないのでピンとこない。あーそういえば途中なんか良くわかんないけど「砂の器」みたいな謎のパートがあったな。
まあしかし市川崑だからなー。それよりもハッタリと外連味で見せるドラマにしてもらった方がそりゃ良いよなー。そういう意味ではもうちょいわかりやすく謎を引っ張る牽引力みたいなのがあっても良かったのかしら。海賊がひとり島に潜り込んだ、ではちょっとミスリード力が足りないよな……
