ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

スイス・アーミー・マン

 

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け……傑作だ……すごい……すごい……

言葉を失うというのはこのことで、えー、なんなんですかこの作品? なんでこんな話がハートにズシッときちゃうんですか? いやー、ちょっとビックリしてしまった。すごい。本当にすごい。

もう映画はいきなりリアリティのタガを外しにかかり、現実と幻想の狭間をフラフラしてバカバカしいストーリーが進んで、それはそれで余りのバカバカしさに爆笑してしまうのだけれども、そんなバカバカしさが後半でとうとう理性ある人間社会と衝突を起こすあの緊張感がもう素晴らしすぎる。ふらふらと揺れ動くこの映画にとってのリアリティレベルが、そのまま孤独な主人公の内面を反映していて、あーそうかつまり彼はこういう現実と折り合いがつけられない人間だったんだなというのが説明いらずでガッシャーンと襲いかかってきてもう震えるしかない。それまで映画ファンが好感と共に過ごしてきた映画的ファンタジーを、理想のヒロインが発見したときの怪訝な視線! 最終的に主人公の孤独な魂の叫びがオナラをきっかけにブリブリと現実のリアリティを吹っ飛ばして底抜けに愉快なエンディングへと繋がるのは孤独な人間に取ってのある種の祈りで、だからそこでエンディングテーマが流れてきたらそりゃあもう号泣するしかないでしょ。映画のエンディングの歌詞ってわりとどーでもいーと思いがちな私ですが、この作品のエンディング曲はもう最高と言うしかない。なんだこの映画俺のことをどれだけ分かってるんだ。俺のために創ってくれた作品なのか。そんなことを本気で思いますはい。