これドキュメンタリーを撮っていた監督の映画なのね。納得。最初は本人が出てきて面食らったけれども、現実と虚構を巡る物語なのであった。
この映画が現実と虚構を足がかりに犯罪の失敗を描いた物語だとすると、どう考えても思い出すのが現実と筋肉を手掛かりに犯罪の失敗を描いた『ペイン&ゲイン』であって、まああっちの方が作品としては全然面白いなーとは思うんだけれども、多分それは筋肉に騙されている。いやそれだけじゃなくこっちのがんばってる編集があんまりピンとこないのもあるんだろうなあとは思う。まあ普通にがんばっているんだろうけど。コレはコレで味なんだろうけど。
オープニングで示されたりエンディングまで出し惜しまされたりしたように、この映画にはあちこちに虚構が張り巡らされているのだけれども、その虚構が全くもって実際的には機能しないっていうのがポイントだよなあ。『レザボア・ドックス』式の色の呼び方も、ゴッコとして消費されるだけで、それが具体的に何らかの効力は発揮していない。ただ一点重要なのは、その虚構こそが彼らのモチベーションとして機能しているという所で、それがまあ『ペイン&ゲイン』のマッチョな思想を思い出させてならないのだった。