うーん、大変重い映画でありますね。オレあんまりユーゴスラビアの流れをきちんと追えてないのだけれども、これたぶんちゃんと分かってる人とかユーゴ紛争の当事者にとっては色々詰まった内容なんだろうなあ……
とにかく虚実ない交ぜの内容で、中盤あたりはその組み合わせが大変面白いよなあ。アンダーグランドでの虚の生活が、地上の映画という虚と出会うことで、まるで実のように振る舞う……というのを、虚構の上で見せられるというのはそりゃまあ面白いよね。そこにあの刺激的で倒錯的な愛が挟まるもんで、うーん、あの感じはどうやって表現すれば良いんだろう……とはいえ、あのシーンって、実側の生活が見えないとなかなか妙味がわからなそうな感じもして、そこはまあちょっと惜しかったです。
時代が下って第三部？ に行くと、もう完璧に虚と実がない交ぜになって、そんな中でなんらかの意味のあるものを見出そう……という感じになるので、あーこれはやっぱり現実の方から意味を掬いに行く話になっているよなー、とは思った。まあでも民族とか国とかいうものをこういうフィクションを通じて語るのは、根本的に価値のあることだよなあ。ナショナリズムというのもある種の虚構だしなあ。
