ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

神のみぞ知るセカイ

 

アニメはちょこちょこ流し目で見ていて、あーバグ回とてもいいなーとか思っていたのだが、あれってアニメオリジナルエピソードだったの? びっくりしたよ。

ということでようやくマンガ版を読んで、まずはうーん頭の良いつくりだなーと唸った。ゲーム攻略の能力で現実に向き合うとなると、普通はふたつの異なるリアリティの世界の差違を描くことに注力すると思うんだけど、所詮マンガ絵はマンガ絵といいますか、いくら「こっちがリアルな世界」と注釈をつけたところで主人公はそこそこカッコいい外見だし周囲は美少女キャラばっかりだし、でリアルなはずの世界をリアルに描くことって無理なわけです。そもそも死神とか来てる時点でリアルってナニ? みたいな状況なワケで。

ということでこのマンガは「現実世界をゲームのリアリティで描く」方法を選んでいて、序盤の記憶リセットは明らかにゲームのリスタートの比喩になっているし、いかにもゲーム的な主人公の内面描写のゆるさを利用して、あたかも各ヒロイン攻略がリセットされて行われているかのようなつくりを採用している。大変クレバー。まあこの尺でわかりやすくヒロイン攻略していく構造をとるにはこの方法しかないのだろうけど。

でまあ、1度はそういうゲームっぽいリアリティを採用した現実世界だったのが、あーだこーだの設定で記憶リセット設定を反故にされ、現実の一夫一妻制的なリアリズムに追いつかれるのが最高にエキサイティング。いやまあゲームによって救われたはずの主人公がハーレムを目指したが、結局現実に追いつかれてしまうのは、ある意味ではだいぶ寂しい結末なんだけれども、お話としてみたらやっぱり現実に向き合えよ的メッセージの強力さはワケわかんねーくらい強力で、だからまあエンタメとしてはこういうオチはしょうがねーよなーとは思う。寂しいけど。

しかし残念なのはループ話のどうでも良さで、地獄のあーだこーだとかどうでもいいからさっさと自分の恋愛にケリつけにいかねーかなーって気分になってしまったのが大変に惜しい。一度目のループで省略の難しさについて自己言及されていたけれども、やっぱこういう連載形式で細かな差違がテクニカルな面白さを生むループの話を作るのって、難しいのかしら。大きな過去へのジャンプ自体は、なぜこの現実世界がゲーム的なリアリズムで描かれてきたのかの辻褄合わせになっていて、確かに理にはかなっているけれども、まあだからといって面白いわけではなく……どうしてもひとつ外側の「はいはい輪を完成させて元に戻る建て付けね」ってのが先に出てしまってなあ。めちゃくちゃキャラが強く好感が持てるエルシィが、ストーリーの駆動のコマとして全く効果的な活躍ができなくなっていったのもしんどくてなぁ……金持ちロリとの淫行未遂とか無駄に過剰な6年メンヘラ女とか、あれってお話の中じゃあまり意味がないと思うのだけれども、その意味のなさの方により強くドキドキハラハラを感じてしまうのはちょっとキツい。

あとそれに関わるけど、結局読んでいるコッチ側のヒロインへの好感度って、それぞれ個別の「いかにもお話として作られた」ストーリーでは全然上がったりせずに、むしろ別ヒロイン攻略中のちょっとした閑話みたいなところでギュンとあがるんだなーというのも結構思い知らされた。美少女ゲームの意味ない日常会話って、だからこそ必要なんだなあ、とか思った。