ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ラブリーボーン

 

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そーかーピーター・ジャクソンこういう映画撮ってたんかー。『乙女の祈り』を思い出させる路線。そういやなんか主人公の感じもケイト・ウィンスレットと似てますね。今の監督のイメージからは結構かけ離れちゃってるけど、こういう作品をあえてつくったっていうことはこういうファンタジックでロマンティックなものが好きなんだろうなあやっぱり。

とはいえ『乙女の祈り』は現実の事件が下敷きにあったものを映画化したわけで、こっちの完璧な作り物のお話とはだいぶ距離がある。連続殺人犯だって、現実が下敷きにされているのとされていないのとは全然その恐怖の質が違うわけで。でまあ結論から言うと、この作品のリアリティの扱いって混乱していて、脚本的には失敗しているんじゃないかなーって感じがする。

そもそも主人公が死んでからの死後の世界パートが全く魅力的には思えない。完璧に作り物の世界で主人公が何をしたいのか、なぜそこに止まっているのか、どうすれば物語が進展するかが全く不明瞭だし、時間の感覚も良くわかんないし、でもとりあえず作品のサスペンスを高める都合で良い様に利用されている感じがするし。まあしかしそこまで彼女の状況を現実世界と結びつけようとするからには、その好意が現実に何らかの意味をもたらす構造になるんだろうなー、という期待を持っちゃうわけだけれども、それも焦らされて焦らされて最終的には外される。え? なにそれ? って感じ。

もちろん、生者/死者共に「死を受け入れる」という結論は貴いし普遍的だし一本作品を創るに値するテーマだとは思うけど、しかしこの映画でその構造をつくろうとするならお互いの努力が何らかの格好でお互いの変化に結びついていないとダメでしょう。「えーそれって時が解決しただけじゃん」「オレたち何のためにこんなにハラハラドキドキさせられたのよ?」って見てる側の感情の持っていき場所がない。こっちの期待を外す映画だってのはわかるけど、外した先の結論に同意が取ることを、もうちょっと重視しても良かったんじゃないかなあ。