ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

きゃくほんかのセリフ!

 

きゃくほんかのセリフ! (ガガガ文庫)

きゃくほんかのセリフ! (ガガガ文庫)

 

こういう業界ハウツー物は時々読むけど、その障害のリアリティレベルをどの辺りに置くかっつーのが超重要よね。だって実際に作者が体験している現実が、フィクションに反映されているわけでしょ? 障害を必要以上に矮小化して解決するのって都合の良いカタルシスの与え方よねー。せっかくフィクションとして再構成するなら、現実を下敷きにしている分だけのある種の地続き感というか、それぞれの行動原理にそれっぽさがあって欲しいよねー。これって趣味の問題? いやー、この小説を読んでいると、現実にあるあーだこーだを「そこをリアルにやったらラノベにならないから」という自己正当化で綺麗に割切っちゃっているように思えて乗れなかったなー。

まあでも根本的に違和感があったのは原作へのリスペクトのなさで、この主人公は何度もムチャぶりをされてそれに答えようとするんだけれどもお、その時「原作の良さを以いかにして引き出すか」という観点が全くないんだよねー。この分量じゃそこを割りきるのはしかたないことなのかもしれないけれども、橋本忍ファンの私としましてはこういう原作との向き合い方が肯定的に描かれると根本からソリが合わないなーって感じがしてしまいますよ。

後はロリヒロイン、もうちょっとおいしく使ってあげないとダメじゃないかなー。結局突破口を見つけるのが主人公、という構造はわからなくはないのだけれども、ロリヒロインがそのためのきっかけを与える装置にしかなっていないのは惜しい。技術的なことは主人公が見つけるにしても、精神性の方をリードする役割を受け持つみたいなことはもうちょい明確にやっても良かったんじゃないかなー。ぶっちゃけあんまりかわいくない。っていうか主人公を突き落とすのはマジで良くない。ま、そういう配慮のなさは、主人公缶詰温泉会の宴会なんかでも顕著よねー。さすがにあの展開はヒロインズにフォローが効かなすぎ。あー、この作品のキャラクターはみんな、他人に仕事を尊重するという一番大事なところが抜け落ちてんだなーとガッカリしました。