いやー素晴らしい。これ本当に良い映画ですね。
何が素晴らしいってまずライティングというか光を効果的に使ったカメラで、序盤の背中に絵描いてるシーンでもう脱帽。蝋燭で様々な方向から伸びる影を俯瞰の回転するカメラで捉えて、しかもその真ん中に肢体をくねらせ背中に淫猥な絵を描かれる女! いきなりああいうものを見せられて「ふへぇぇぇぇぇ」と変な声が出ましたが、採光がしづらく暗闇になりがちな日本家屋に、外から差し込む光で浮かび上がる人物の横顔で完璧に参りました。それだけで「ああ満島さんありがとうございます」ってかんじですよもう。メインの舞台となる御用宿の、あの暖簾から差し込む光の美しさ! もうね、映画とはかくあるべきでございますね。
でまあ、なんといっても素晴らしいのは編集で、いやあこんだけ濃くて色々ある内容をイカニモな口上を詰め込み詰め込みやったら疲れちゃうのが当然だと思うんだけど、そこをこんだけ軽妙な編集でまとめられるなんてちょっと離れ業じみてますね。2時間半近くあるなんて全く思えない。そんな中にもキッチリ伏線を張り巡らせて、あじ売りの下りとかもうホント脱帽号泣でありますよ。いやー、うまいなあ。
近松門左衛門原作の映画でも思ったけど、オレなんだかんだこういう世話物? じゃないか、でもまあそういうの好きなんだなあ。