ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

他人を支配したがる人たち:身近にいる「マニピュレーター」の脅威

 

あー、そうかー……これは、心当たりがある……いやまあここまではっきりパーソナリティ障害に分類される人に直接被害を受けたワケじゃ無いとは思うんだけれども、でも、声の聞こえる範囲くらいにはいますよね……こういう人。

いや、この本の中に被害を受けている人のパターンがあって、オレは絶対「論理的に考えすぎる人」に分類されるので、あらかじめこういう行動パターンがあるという知識が脳内にインプットされているだけで、だいぶ心持ちが違うだろう。いや本当に、定型を知っておくというのは大事だよね…

あと、マニュピレーターとまではいわなくて、多分意識せずにやっていることなんだけれども、「他人に罪悪感を植え付けようと振る舞える人」みたいなのは結構いるなーと感じていて、その振る舞いが具体的に上げられていたのも大変良かった。

いや、自分はコミュニケーションがめっちゃ苦手だからこういうのって全く言語化できないんだけど、みんなこういうの当たり前に意識して生活してんのかな……? 根本的に世界の捉え方がズレてるんだろうなーとは思うんだけれども、まあ嘆いていても仕方ないので、自分のやり方ですり合わせていくしかないよなー。

究極の地産地消暮らし 1年間の家族記録

 

いろいろ思うところのあるドキュメンタリーだな……

とにかく家族のあり方というのを最初に考えてしまう。ネイチャーな思想にかぶれている母親に1年間食生活を拘束されるというのは、果たして倫理的にどうなのか、ある種の虐待に近いんじゃねーの? みたいなこと。いや実際どう考えれば良いのかわからんけれども、自分がその立場に置かれたらどう考えるだろうな。エンディングのスーパーの食い物食って満足! みたいなリアリティがたまらんなあと思いました。

しかしこれ「地産地消」というキーワードに「何の意味があんの?」って意識だからこう感じるのかなあ……地域のコミュニティを大切にして、みたいな感覚が全くないから全然ピンとこない。冷蔵庫をガンガン使ってガソリンも利用して、という生活で、流通というテクノロジーの成果を利用しない感覚というのが、根本的に理解できていないんだけど、あの土地に住めばそれが実感出来るのだろうか?

あと人類において食料の保存というのがいかに大変かということを思い知らされる。スーパーって食料の流通を担保しているように見えて、ストックとして機能するというのも結構な役割なのだなあ。言われて納得という感じ。

まあしかしユーコンでこれをやるというのがなんとも……たしかにユーコンでこれができるのなら世界中のどこだってできるのだろうな。

地球を救え!スタートアップが描く未来

 

あんまり興味の無い技術の話かなーと思ったら、それよりも半歩踏み込んで、スタートアップを阻害する規制の話だったんで「うおーこれは見たい!」と途端に前のめりになるのだった。新しい技術は既存の社会が機能しているルールの外側からもたらされる、だから法規制はきちんとそれに対応しなければならない……っていう点だけではなくて、既存の社会を成立させている大企業は、自分たちの地位を守るために規制を強化しようと振る舞う、みたいなめちゃくちゃ納得する構図が提示されていてなるほどって感じ。技術的制限以外にそれらの技術が進まない下地なんてそこまで想像したことなかったから、そうかー改めて言われりゃそうだよなーと感心しました。あとマジで二酸化炭素はこれから規制が変わって巨額のマネーが動きそうな気配よね。

あと個別のスタートアップの技術についても、想像したよりは全然面白くて、海でジャイアントケルプとルーム貝で効率良くたんぱく質を作ろう! とか、うーんこれはビジネスチャンスだな……と素直に思ってしまう。まあそういう人間がチョロく養分にされるのかもしれないけれども、まあ、そういう技術で夢を見ることは全然悪くないよなあと思わされました。

アメリカ THE MOVIE

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なんだこれ……相変わらずアメリカのこういうコメディは置いて行かれるなー。

アニメーションは全てをコントロールできるワケで、空いた隙間を片っ端からパロディで埋めているような内容で、うーん情報量が多すぎてちょっとパンクしそうだわ。アメリカにそこまで詳しくないオレでもなんだかんだ「あーこれはあのネタかな?」とわかるところがあった。とはいえやっぱりその機微とかは全然わからんから何とも言えんところがあるよなー。ジェロニモを仲間にするシーンの「ん?」みたいな感じとか、ジョージ・ワシントンが先住民との対立にどのような態度を取ったと考えられているかみたいな背景ないとちょっとわからんでしょ。あとエジソンが中国人女性なのは何で? 急にポリコレとか意識した感じってギャグのイメージなの? うーん、全然わからんなー。しかしまあ、そこら辺の危うい題材をガンガン用いながらよくもまあ作るわー腹が据わってんなー、というのは正直感じる。ラストの演説のしっちゃかめっちゃかっぷりもそこら辺のバランス取りなんだろうなー。

しかしまーこういう血しぶき飛んだりグロかったりすんのホントに面白いと思ってんのか……オレには全く理解できないなあ。途中、夢のシーンでクライマックスにかかるリソースをぶっちゃけてるあたりのメタネタとかは好きでした。

風をつかまえた少年

風をつかまえた少年(字幕版)

風をつかまえた少年(字幕版)

  • キウェテル・イジョフォー
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マラウイってどこかわからんかったけど、あー、大地溝帯なのね…おぼえた。

こういう言い方はアレだけれども、「異世界転生は新大陸の発見の再演」みたいな雑なアレを思い出しちゃうよなー。自転車のダイナモなんて手段があればめちゃくちゃ簡単に手に入るわけじゃないですか。それを転用するだけで畑で野菜が耕せるなら、そんなん絶対やった方がいいわけで。それができない理由が「図書館へのアクセスが制限されているから」って、いやーなんというかその、すごいな……アフリカのドキュメンタリーを見ていると、「子供を学校にやること」の尊さが説かれてたりするわけで、それがここまでわかりやすく表現されるとビックリされてしまうよな。

わかりやすい……という話で言うと、ショッキングだったのは「泥棒」の話。食い物がない! 盗む! 盗まれた! 絶望! というのがあんなにプリミティブに襲ってくるとは思わなかった。いやなんというか、自分たちの生活は社会に守られているんだなーというのを、あんだけわかりやすく提示されるとは思わなかった。民主主義社会になって演説してタコなぐりとか、食料を購入したらしたで奪い去られそうで危険とか、いやーホントに社会が直接的なんだよなー。

父親に風車のプロトタイプを見せるシーンとか、やっぱり母親が理解者となって流れを変えるシーンとか、人間ドラマとしても、ベタではありながらも色々見所があって良かったです。

着たい服がある

 

なんだろう……こういうのにホント弱くなってるな……だめだな……いやまあしかしこの「着たい服を着る」という行為そのものがめっちゃプリミティブに自己実現になってるから、こういう題材を見せられた時点で「うーん参りました」ってなって当然は当然だよな。しかもマイノリティの自己実現だもんな。ちょっと主人公に悪意を向ける人間が大したことないあたりもまあやさしい世界ってかんじで大目に見ちゃうな。でもちょっとそこらへん、ネットの悪意とかも出したのだから、もう少し取り返しのつかないことが起こってもらった方が……という気持ちもちょっとだけある。

まーでもビックリするのは「教育実習」というタイミングと合わせてかなーり地に足ついたものを志向しているところで、主人公サイドが真面目に真面目に人とコミュニケーションを取っていくドラマをやってるんだよなー。内容的には、やっぱり最初の「服を着る」というジャンプが一番ドラマティック……というのは難点ではある。どれだけドラマを積み重ねても、最初の一歩の「ええ~!?」という衝撃を越えるのは難しいよね。

でも、きちんと誠実にやろうとしているからこそ、ラストの「主人公にきっかけを与えた側の難点が浮き彫りになる」というテーマが生まれてくるわけだし、それはとても好感が持てることだと思いました。

法のデザイン

 

法のデザイン

法のデザイン

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いやーこれめちゃくちゃおもしろいじゃないですか。レッシグの「CODE 2.0」は概念的なことをいってる部分が多かったけれども、それが実際今の社会で用いられているWebサービスとかを例にしてわかりやすく説明されていて、うおーそうかーこれもあの本での枠組みが生かせるのかーという感じでめちゃくちゃ納得感がある。音楽の著作権が西洋音楽の枠組みに囚われているみたいな指摘はホントハッとさせられました。

金融制度や家族制度の話を経て、最後には当然「情報技術が進む中で民主主義社会はいかにあるべきか」みたいな話にも繋がって、そりゃまあそうだよねーという感じになる。法律をgitで管理するみたいなアイディアは当然出るんだけど、まずその前に市民が直接政治に参加できることの方が当然出てきて、すると現在デジタル庁がやってるアレやコレやが「いや利便性よりも先にやるべきことがあるのでは?」という感じになってくる。民主主義社会において情報が公開されていること、検証可能であることの重要性は言うまでもないっつーかむしろ根幹なんだから、普通そこらへんを真っ先に見なきゃいけないところよねえ。

いろいろ具体的な題材と分野が上げられているけれども、基本的に規制は不完全なものであり、その不備が技術の進歩によって浮き上がり、だから社会を積極的にデザインし直さなければならないのだ、という姿勢が大変説得力あり、終始うんうん頷きながら読みました。しかしそうやって考えると、ニコニコ動画とYouTubeを分けたものとかに思いを馳せずにはいられないなあ……

あと、あとがきで「明日の神話」の話が取り上げられたのも良かったなー。多分今ネットで「表現の自由」って声を上げている人のどれだけが、あのパフォーマンスを肯定的に捕らえてるかっていうのはかなーり疑問に思っている。けど、表現っていうのは、既存の枠組みにたいして異議を申し立てることも当然あるし、だから当然バッティングするワケよねー。