ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

プラットフォーム

 

ワンシチュエーションスリラーって言うんですかね? こういうのって「このシンプルな状況でどういう物語の展開が有り得るんだ?」というドキドキが物語を追いかける動機だったりすることが結構あると思うんですけれど、そういう意味では全然そういった展開をしていくニュアンスが思った以上に薄くて、うーんちょっとそこら辺は期待外れだったかなーと思います。犬が思った以上に呆気なく食われたり、「熱くなるか寒くなるか」みたいなギミックも全然生きなかったり、そういうテクニカルなところでもっと色々生かせるアイディアはなかったのかなー。あと糞尿はどうしてたんだろう? この構造だと排泄物がかなり重要な役目を果たすと思うんだけど、そこら辺オミットしちゃうのは、食を中核のテーマにした作品としてどうなんだろうなあ……

あと色々メタファみたいなのはあるっぽくて、スペインだし結構キリスト教的なバックグラウンドありそうだなーと思うんだけれども、いやまあそれにしたってちょっと抽象的すぎてついていけないところがあるなーと思いました。神の話になる前に、もうちょっと社会的な部分とか人間社会を信頼しても良いんじゃない? というのは正直思う。というか神の概念が突然導入されてる感じでよくわからんのだよなあ。スペインって国の宗教との距離感とかが全然イメージできないのが問題なのかもしれないけれど……

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

 

ぼろなきしてもーた。うーん、オレこういう社会に馴染めない系の少年にどーしても感情移入してしまうのだなー。この年でそれってどーなのよとは思うけれどもまー本当にそう思ってしまうので仕方ない。っていうかこの監督、『リトルダンサー』のひとなのか。あー、ほんとだいぶ泣かされているな……

そもそも「不条理=愛するべき人の死を呑み込む話」というもうめっちゃ強力な骨格があるわけだけれども、それがただ個人の話ではなくて911でニューヨークという待ちの物語にしてあるあたりがまー本当に素晴らしくて、いやーほんとめちゃくちゃ冴えてるなーという感じ。町に住んでいる人間が、皆受け止められない事実をどう消化するのに戸惑っている様子が、それらに総当たりする少年の視点で語られるなんてなー。いやーほんと、この構図だけでもう参りましたって言う感じ。

母親が「全てを見守っていた」というオチは、ひとつ間違えると台無しになるやり口にも見えるけれども、結局のところ少年のトラウマの言語化というか、一種のセラピーをいかにして成功させるかという物語のつくりになっているから全然オッケーというか、むしろさらに良くなっているのもとてもすごいよなー。不条理を埋めるために愛が必要とされるみたいなめちゃくちゃシンプルなアイディアがあそこまで強烈に訴えかけてくるんだから、いやほんとよくできてる映画だなーと思いますわ。

チェンソーマン 第一部

 

うーん……なんだこれは……いやー、すごい。すごいってしかいえねーなーこれ。いやー、ジャンプでコレやるのかー。すごいなー。やっぱジャンプはすごいなー。いやーすごい。すごい。すごい。

なんだろうかこの言語が追っつかない感は。序盤はまあまあロジックみたいなのもなくはない感じであるけれども、途中からなんかもうすさまじい感じになって凄まじいとしか言いようがないな……そしてその凄まじさをああやってストンと落とすのなんなんだー。うーんあまりに圧倒的で言語化できないなー。

まあメインのラインはめちゃくちゃストレートで、そのドラマが余りにも強力だから、ストーリーのロジックがポーンと一足飛びになってもOKみたいなところはあるなー。人智を越えたものを人智を越えたものとして描くことで「ストーリー」を上手く駆動させている感じ。そしてソレが可能になってるのは、短く刺さるキャラの印象づけって感じがする。どーやったらあんな台詞書けるんだろうなあ。「えーそこで殺しちゃうの」みたいなもったいなさ。でもまあそれが逆にこの作品のリアリティレベルを担保していて……

というかこれどうやってアニメ化するんだろう。まあやるんだろうなー。

ボリス・ジョンソン-イギリスを口車に乗せた男-

 

ボリス・ジョンソンというかブレグジットの基礎知識が全然なく、知ってるのはCAの一見くらいだったもので、なるほどこういう人なのね、というのをゼロから学んでいる感じではあった。もうちょっとちゃんとニュース見ないとダメだよなー。

なんとなーく「このおっちゃんおもろいな」みたいな印象はあったわけだけれども、まあこの出自でそういう「おもろいな」と思わせるテクニックを磨き上げてきた人なのね。ドキュメンタリー内での立ち振る舞いも、いちいち面白くみえるからなー。ボリスがマスコミからのし上がった、というあたりの話がめちゃくちゃ納得感があって、あーやっぱりトランプとこれ繋がる線なのだなーという感じがはっきりしました。「なぜブレグジットしたのかわからない」みたいな言及が散々あって、それはこの立ち位置からドキュメンタリーを作るのなら当然のキャッチフレーズだしそこは多少さっ引かなきゃいかんのだろうなーとは思いつつも、しかしそういった実質のない議論が世の中を動かしかねない状況に今世の中があるってことはもうふつーに実感があるわけでなぁ。

あといちいち話の合間に大英帝国の栄光みたいな歴史の言及が挟まってきたりするのはうーんイギリスーって感じ。階級社会がきっちり生きてるんだなーというかんじがしました。

中国 デジタル統治の内側で〜潜入・新疆ウイグル自治区〜

www.nhk.jp

あーやべー。これやべーな……

いやまあうっすらヤバいことが起こっているという話はネットで耳に入ってくるわけだけれども、ほげーこんなことになってるのかーという感じ。いやーやべー。

そりゃまあ香港の件とかでデジタル監視社会に突入したらやべーよなーこれとは思っていたけどさ、まさかこんなにドンピシャでディストピア社会が生まれちゃってるとは思わないじゃん? しかも規模がくそでかい……中国のスケール……そしてそれが外部に出てこないとか、いやー、ちょっと想像の遥か上を言っていましたね……中国怖くて行けないわこれ。

そしてこういう状況の抑止力ってのが「人権」という概念にしか求められないよなーというのもよくわかる。内政干渉とか言ってる場合じゃないよなこの状況って……まあそもそも共産党が宗教に対してどのような態度を取っているかとか、漢人の立ち位置がどれだけ優先されているのかとか、そこら辺の肌感はわからないけれども、しかしこれをこのままスルーするのはやっぱりよくないよね……

それにしてもこの潜入映像、よく取ったなあ。公開したら個人特定とかサレルや津田よねこれ。そこら辺きちんとFakeが入っているのかしら。

40日で長期政権を倒した男~アルメニア“革命”の舞台裏~

 

アルメニアがわからなすぎる……場所すらどこにあるのか理解していない……アルメニア……チェスが有名でカスパロフが出身なのか……色々調べたけど、そのくらいしか引っかかりがないぞ……うーむー。

インターネット・スマホの普及で民主的な革命が起こって専制体制が崩されて、みたいな事例はいくつか世界であるわけだけれども、そのうちのひとつって感じなんだろうなー。ガンジーの行進みたいにすげえ人が集まって……という感じになったら面白いとも思ったんだけれども、まあ今の人はそんなにリソースを割く余裕がないよなー。SNSので賛意を示すことはできるもんなー。

公共交通機関を妨害することが、政治活動として肯定的に語られるあたりとか、そうだよねーこれが公共の利益ってヤツだよねーみたいな感じ。制度内での仕組みでは状況を変えられないんだから、革命ってヤツが必要になるわけだよなー。

民主主義にとって「広場」っていうのはとても大事な機能を果たすんだなーということが、ビジュアルでこれ以上ないくらい表現されていて納得感があった。あとスマホを掲げてライトをつけるというのは、現代のデモで連帯を示す印になるんだなーということもよくわかった。

タイタニック 中国人生存者の物語

 

これ制作は中国なのね。そうするとだいぶ色々見え方が違ってくるよなーと思いながらも、しかしどういった視点・動機でつくられているんだろうなーというのがまず根っこである。これは中国人への人種差別の歴史であるから、被害者である中国がそれを語るとちょっと色々見え方が変わってくる。

なんてことは思いつつも、まあしかしそれはそれとしてタイタニック号でアジア人に対する差別を語るという切り口はめっちゃ面白いなーというのがまずある。華僑とかチャイナタウンの成立ってどのくらいのタイミングなんじゃろうか。でもこのタイミングだとハリウッドとかできてきた頃だろうし、となればチャイナタウンも……みたいにタイムスケールをロサンゼルスで測ってしまうのがなんか笑うな。現代史を映画ベースで認識している……まあ、それだけ物語の効能が強いということなのだろうけれども。

あとアメリカだけじゃなくてイギリスでのアジア人差別にも触れられているのも成る程ーという感じだし、炭鉱労働者が放出されるようなタイミングなのかーという納得もあるし、あとブリストルが出てくると「うおーだからバンクシーが!」とか思う。うーん、やっぱり知識が増えるのはたのしーなー。