ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

モリコーネ 映画が恋した音楽家

 

いやーモリコーネってこんなにアカデミックなところから出てきた人なのか。いやまあ言われてみれば確かに、マカロニの楽曲はかなり実験音楽って感じだけれども、当時はそういうのが当たり前なのかもしれんなあ、くらいのつもりで受け取ってたからなあ。まさか当時もそんなアバンギャルドな試みだったとは思わんかった。というか「黄金のエクスタシー」みたいな血が滾るような曲を作る人が、まさかこんなゴリゴリの理論家だとは……最高にビックリだよ。

そして何より印象的なのは、モリコーネ自身の評価とポップス・映画音楽との評価がまるで異なるところだよなあ。もちろんモリコーネも映画の勘所を掴んで適切な音楽を作る能力は比類ないのだろうけれども、やっぱりアカデミックな音楽に対する複雑な思いが、大衆に阿る音楽を軽視させていた……みたいな理屈は、いやまあ普通の人ならわかるんだけれども、まさかモリコーネで……うーん、予想外すぎる。

色々面白エピソードに彩られているけれども、一番面白かったのはやっぱりキューブリックのくだりだなあ。完璧主義者の代名詞のキューブリックに、モリコーネが正面からぶち当たったら、一体どんな音楽が仕上がったのか……『時計じかけのオレンジ』のあとだと、えーと、ナポレオンとかそこら辺の感じ? うーん、想像が全くつかないなあ……