ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

 

夢

  • 寺尾聰
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うーん、そうか……こういうところに行っちまうのか……いや、後期の黒沢映画はポツポツ見ながら「だいぶ遠くに行ったなあ……」という感じはしていたけれども、うーむ……

しかしなあ、こんなにも死の色が濃い作品になるのだなあ。単純に死を題材にした……とかではなくて、ちょっと転んだらそのままコテンとあっちの世界に行ってしまうような恐ろしさが全体に漲ってて、見ていて大変怖い。元々古典に題材を取る人ではあったのだろうけれども、こんなに必然性なく感覚優先でお出しされると参ってしまう。『パプリカ』の行進もワケわかんなかったけど、あっちはワケわかんない表現ということがはっきりわかっていたからなあ。こっちは完璧に夢。夢だわな。

その一方で原発がどうこういう、わかりやすいテーマの短編もあって、テーマは逆にホッとしたりもするけれども、あの過剰な富士山の爆発とか、すげえ望遠で距離感が捉えられない感じの海とか、なんかもう全然安心できねえもんなあ。ゴッホとかもうそこまでやっちゃうの? という感じだしなあ。

全体的にメタなところがある作品ではあるけれども、最終話の笠智衆の役柄にはさすがに笑ってしまうよね。そりゃもはや妖怪のたぐいだよねえ、年齢的に。