ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

野中広務 差別と権力

 

うーん面白かった。自分あまり政治に興味を持っていなくて、「毒まんじゅう」はだいぶ流行語になっていたけれども、アレって一体なんなの? っていうかそもそもこの人何なの? というレベル。だけれども、ナルホドこういう感じの立ち位置だったのね、と大変おもしろく読むことができた。でもそれに加えて、例えば「加藤の乱」とかどういう経緯でなにが起こってんのか全然わかんなかったんだけれども、この本の後半は野中広務の視点を通してあの時代の政局みたいなのをザラーっとさらっているところがあって、あーうんこれは大変楽しいぞ。

しかしすげー納得感のあったのが田中角栄との絡みで、たたき上げの人材が政治の世界を支えていたみたいなところ。権力を手中にしてからの善し悪しは当然あれど、ある意味でマイノリティの視点が日本の政治にきちんと影響力を及ぼしていたのだなー、というのがよくわかる。そうだよなー、弱者に寄り添う視点、ある意味での多様性が一応機能していたわけだよなー。

というような感想はありつつも、そもそも育った環境の問題でなんか差別というのがいまいちピンとこなかったんだけれども、そこら辺の生っぽさを急に鋭い覚悟で突いてくる佐藤優の巻末の対談がちょっとすごすぎた。あのレベルの読み解きをされちゃうとちょっとぐうの音も出ないなー。いや、もうあの対談に全部持って行かれた感じ。そのくらいの衝撃がありました。