うーん、これは中盤以降の展開が完璧に迷路だよなー。時代背景とかサボタージュとかのバックグラウンドがよくわかんねーというのはあるけれど、それを抜きにしてもニューヨークパートの怠さはちょっと看過できないのではないだろうか。序盤がヒッチコックのサスペンスとして悪くないので、だいぶしんどいなーと思うのだった。特にヒロインと行動を共にすることになる当たりのパートの辛さはヒッチコックらしからぬ感じ。
しかしこれなんかヒッチコック作品の中でもずいぶん政治的主張が強いように感じるのは気のせいかしら? 『北北西に進路を取れ』は最後にザ・アメリカな感じの場所でやったけど、テーマとかそんなに強かったっけ? この作品は自由の女神で「人々の良心を信じる」って、いかにもベタベタにクソ真面目にやっていてちょっとビックリしてしまった。サスペンスでガンガン引っ張るだけでいーじゃんヒッチコックなんだし! って正直思ってしまう。
いやー、しかしなんだろうなああのパーティーパートの微妙さは。あそこだけものすごく緊張感が緩い感じがする。社会情勢への不安が下敷きになると、あのくらいの緩さでも切実に感じられたとかそういうことなのかなあ……わからん。