おっ、これは大変良いテーマを持って来ましたねーって感じ。日本じゃ歴史修正主義みたいな話題が最近色々盛り上がってるけれども、ヨーロッパではこのタイミングでネオナチとかでてきたワケよねー。最近『アウシュビッツの会計人』みたばっかりってのもあって大変タイムリー。
なんだけれども、作品としてはちょっと敵が明らかにやられるべくしてつくってある造形って感じで踏み込みが浅いように感じてしまう。事実に基づいているのだから陪審員のリアクションでドラマをつくれないのはしょうがないのだろうけれども、まあしかしああいうホロコースト否定論者がもっとも特徴を発揮できる「聴衆へのリアクション」が封じられたら裁判のドラマ性はちょっと削がれちゃうよねえ。
むしろ映画の焦点は、ユダヤ人でアメリカ人な主人公がイギリスの文化の中でチームワークを手にしていくところを描いていて、それはそれでとても納得のできるアングル。まー女性が発言を妨げられる上に、その代弁をイギリス人の爺さんに託すわけで、これって結構しんどい図式であるような気もしますけどね……これを真面目にやるんであれば「勝つためには」式の強制ではなくて、最初から「あなたの気持ちに寄り添います」ってのをきちんとやらなきゃならんのだろうけど、まーそれはそれでドラマにならんか。