ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ネガレアリテの悪魔 贋者たちの輪舞曲

 

ネガレアリテの悪魔 贋者たちの輪舞曲 (角川文庫)

ネガレアリテの悪魔 贋者たちの輪舞曲 (角川文庫)

 

いやーこんな大変なものを良く書いたなあ。絵画系の物にガンガン触れているのだけれども、こういうのが世の中に出ているのを見ると素直にすごいと思う。と同時に、うーんやっぱり絵画をテーマにエンタメ小説を行うのって辛いよねーとも。

まあこの本でもそうなんだけど、結局絵画を中心に物語を語ろうとすると、表面上には浮かばない真のストーリーみたいなのを追いかけることになって、それはまあいいと思うんだけど、肝心の絵画そのものが読者の脳裏に浮かばないと辛いという問題がどーにも辛い。この作品、イメージを喚起させる描写なんかもきっちりやって、まあ丁寧に登場人物の心情を汲んでストーリーを組み立ててるなあとは思うものの、しかしこれが絵画と小説の幸せな関係かと言われるとどーもこう首を捻ってしまうのだった。いやまあ面白いんだけど。

あと、この時代のイギリスで機械人形に刀持たせて戦わせるみたいなモリモリの設定は大変好ましいのだけれども、俺的にはもっと色々与太を飛ばしてオカルト大戦をやって欲しいよなーと思わんでもない。贋作をテーマに丁寧にやってはいるんだけど、ハッタリするならもっとハッタリ生きた展開が見たいよなーとは思いましたはい。まあ想定対象読者的には、この辺りが適切なんだろうけど……