ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

七回死んだ男

 

新装版 七回死んだ男 (講談社文庫)

新装版 七回死んだ男 (講談社文庫)

 

一応ちゃんとラストでイッコどんでん返しはあってへーふーんなるほどねーと思わなくはないんだけどさすがに無理がなかろうか。冒頭の会話が定型化されているのはある種「読者は心配しなくて良いですよ」という記号であるはずで、たぶん記号以外にもたくさん同日である証明は端々にあるんだろうなーと考えながら作品を読むのが普通。「なんでここが違っているんだ?」と主人公が疑問に思うのはその他の文章から省略されている部分が同じ道筋を辿っていることの証明という言い方もできるはず。オレにとってはこの作品のメインのトリック、結構アンフェアに思えます。

そもそもこの世界のループのルーリングされてない適当さがかなり微妙で、世界の収束がどのくらいの確度で起こるのかがさっぱりわからないので推理とかしようがない。オマケに殺人現場を押さえりゃ良いはずの主人公が全くそのような行動をとらず、ただただあやふやなそれぞれの動機を推理して対処するという、まあハタから見ていて「そうじゃねーだろ根拠薄弱すぎだろ」と思う行為をメインに取っていて、はっきり言って真面目に読む気をなくするなあ。あーふーんそういうルールでやるんだーそうですかーって感じ。

トリックで導き出された結末が告白が通っていた、くらいの位置に落とすのはベタだけど悪くないけど本当にそれでいいのか。うーん微妙。物語として全然牽引力がないというかマジでどーでもいいというか。いやまあせめてラストでヒロインが「そうやって私を口説くのは何度目ですか?」くらい聞いて欲しいよなーホント。面白ギミックがあるのに全然想像力を超えないのは、このジャンルで色々なバリエーションが出てしまっているからなのだろーか。