タイトルで想像したのと全然違って、ダラダラ続く負け犬のロードムービーで、でもそのダラダラと続く感じがもう大変しんどくてよろしい。こういうどうしようもないクズ人間を描かれると、物語的に因果応報な結末を観たいという気持ちと、いやこれはそういうわかりやすい勧善懲悪にしちゃったら台無しじゃんという気持ちがごちゃ混ぜになって、大変複雑な気持ちになるのだけれども、そこら辺の振り幅を利用してまあとんでもない結末に向かっていく映画だったなあとは思う。
主人公は本当に擁護しようのないクズなんだけれども、そのクズがなんとなく引き際をわかってそうな男と不思議な友人関係になる、という展開になんか好感を抱いてしまう。酒を飲んでわっはっはと笑っている顔を見て人生にはこういう瞬間があってもイイよなあと思ってしまう。ギャンブルにのめり込む姿に「やめろもうやめてくれ」と祈ってしまう。こういう周囲の人間の共感が、彼の人生を狂わせたんだろうなーなんて思いつつも、見ていてやっぱり憎めなく思ってしまう。いや絶対憎むべきなんだろうけど。
だからラストのポーンと突き抜けた結末を手渡されて突然放心してしまうのは、視聴者であるコッチ側も同じなんだよなあ。ラストの幻聴も最高に気が利いていて、いやなんでかわからないけど大変この映画を気に入ってしまいました。変な映画だなー。