黒社会といえば拳児である。それくらいしか全然知らないのである。
香港は一応行ったことがあるしあとそこから中国で深圳あたりも覗きに行ったので、まあ完璧にではないけれどもそのふたつの土地の違いがなんとなくわかっていてイメージが多少は沸きやすくて良かった。まあこの映画が出たタイミングと今とじゃ格差は色々変わってそうだけれど。まあゆーても香港がアジアの経済センターであることは代わらないか。
勝手にクンフーが出てくることを期待してしまったのだがさにあらず、作品内で行われる暴力はもっと生々しくてよろしかった。ラストのビックリ暴力シーンを泥臭くじっくりたっぷり描くのも良いけれども、印象に残るのはゴロゴロ木箱転がし拷問シーン。あの中身が生きているのか死んでいるのかこれで死ぬのかいやでもギリギリ死にそうにもないよなあ、って拷問感が最高。あんなに良い拷問シーンはなかなかないですよねー。
茶のシーンも良くて、それまで紛糾していた会議が突然ティータイムでスッと静まるのがとてもよろしい。中国人の茶に対するコダワリに説得力があるからこそ、あの後の掟を巡る展開もそういうもんなんだなあと感じられるのだろう。
しかし全体的にはシンプルで硬派な内容で、昨今のド派手暴力映画になれた身には、もう少し外連味とか派手な部分を期待してもしまう。まあ仕方ないよね。