ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

父、帰る

 

父、帰る [DVD]

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あらまあ素敵な映画。冒頭の飛び降りから走っての追いかけっこから目が離せないけれども、そこに父が帰ってくるとかほんと素晴らしい導入ですよねこれ。

そしてとにかく父がわからない。なんなんだあの父は。突然帰られても他人だし母ともなんかよそよそしげだし電話の相手もよくわからんし謎の島でサバイバルだしマジでよくわからん。そして箱。まさにブラックボックス。映画はそこに大いなる謎をおいて終わってしまう。でもそれはこの映画のテーマをそのものであるわけで、その謎を呆気ない死がポーンと正当化してしまう脚本がズルい。あのドラマティックな展開から唐突に挟み込まれる死の衝撃たるや! あんなカメラもう一生忘れられないじゃないですかマジで。

でまあ、ホントに面白いのはそこから先、たったふたり残された兄弟が死体を連れて島から戻るパートで、この短い期間でちゃんと伝わるべきものが伝わっているのが本当に良く描けてる。あーそうかー中身はわからんでもいいんだなあ。そうだよなあ突然船って沈んだりするんだよなあ。そういうものだよなあ。

そして有無を言わせぬ広大なロシアの自然。ちっぽけな人間。簡単に人は死ぬ、ということをこれ以上ないくらいはっきりと見せつけてきやがる。