ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

バグダッド・スキャンダル

 

バグダッド・スキャンダル [Blu-ray]

バグダッド・スキャンダル [Blu-ray]

  • 発売日: 2019/05/08
  • メディア: Blu-ray
 

バグダッドでの国連のスキャンダルを追った映画、ではあるんだけれども、まあ事実が面白すぎるのでなかなか映画という形で何を見せるかが難しいよなーと思わされる。スピルバーグの『ペンタゴン・ペーパーズ』はやっぱりすごく気が利いていたんだなー。

この映画はやはり父親的な役割を果たすベン・キングズレーとの関係が焦点だと思うんだけれども、うーん、実はあんまり主人公側に感情移入できないとは正直思う。ベン・キングズレーへの信頼が揺るいだりするのを楽しむべきつくりだとは思うんだけれども、もう少し泥臭い共感できるところから入らないと、「まあ国連くらいでかくてそういう利権があれば、こういう行動とっちゃうのかもねー。っつうか賄賂はどう使ったの?」みたいに客観的に映画を終えてしまうよなあ。バグダッドに到着してからの異国情緒に触れるシーンとか市民の生活に共感する当たり前のパートが「まあ知ってるでしょ」って感じで割合吹っ飛ばされている感じがしたんだけれども、そこが結構致命的なんじゃないかなーと思いました。

あとどーでもいいけど車に乗り込むシーンで画面がヒキになると人間無意識のうちに身構えてしまうのね。あーこれエンジンかかったとき爆発するアングルだわ、というの。爆発しなくても結構そういう緊迫させるアングルが演出として使われているような気がするなーと思いました。

スモール・ソルジャーズ

 

スモール・ソルジャーズ [DVD]

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  • 発売日: 2002/11/01
  • メディア: DVD
 

いやあ、ある意味すごいなあこれ。トイ・ストーリーみたいなオモチャ映画の金字塔が既にある中で、こんな映画を作っちゃうのはすごいツラのカワの厚さを感じる。っていうかこのジャケットもヤバいよね。玄田哲章推し。違う。いや違わないけれども。ストーリー上明らかに主人公の相棒ポジションにある大塚明夫を推さなきゃいけないはずなんだけれども、押しのけて堂々のメインを張る! いやあ……というか余りにもセリフが弱くて、大塚明夫がライバルポジだったことに全然気付かなかったよ! っていうかNetflixの吹き替え、どの吹き替えキャストを採用してるかわかんねーのマジ困るな。

いやまあとにかくオモチャに対する思い入れがなさ過ぎてビックリする。オモチャを愛するピュアなデザイナーに商業的理由で無理やり軍事技術がぶっこまれるって、ふつー軍事技術を拒絶してオモチャはオモチャに戻って金儲けをしようとした資本家がぎゃふんと言わされるオチを期待しちゃうじゃん? おあつらえ向きに主人公は小さな街のオモチャ屋の息子で、だからオモチャの擁護者になるべき立場のはずじゃん? それが、それが、それが……オモチャの兵隊をめちゃくちゃに焼き刻みぶっ壊し、挙げ句生活を壊された面々は資本家に小切手をもらってオールチャラ、資本家は「このオモチャは軍事転用できる!」ってニコニコヘリに乗っちゃうのうわー! シビアー! シビアな現実ー!! 余りにもあっけらかんとしたラストにもうぶったまげちゃいましたわ。限界を突き抜けてすげーピュア。衝撃的。

ハード・ターゲット

 

ハード・ターゲット [Blu-ray]

ハード・ターゲット [Blu-ray]

  • 発売日: 2013/11/27
  • メディア: Blu-ray
 

あれ? ジョン・ウーとヴァンダム? おれなんでこの映画観てないんだ? よーわからん。

まーその、ストーリーはすげー雑で、おーいもうちょっとこうなんとかならないですかね? ホームレス狩りが娯楽に、というのはまあ入り口としては良いと思うし、まあそもそもそこまでリアリティを求める話じゃないのもわかっちゃーいるんだけれども、いやしかし、いやしかしだね、さすがに街中に駆け込めるっちゅーのはどうなの? 身内がいないことよりも先に色々やっとくことがあるでしょー。

とかそういうツッコミを遥かに置き去りにしてグイグイ映像とアクションで見せるんだからすげーよなージョン・ウー。『フェイス・オフ』くらいトンチキなストーリーでもそこにのめり込むだけのフックさえあればリアリティ無視して成立できちゃうんだからなー。そういう意味ではヴァンダムはもうちょいこう味があってくれた方が良かったのかしら。小汚くしてもカッコいいんだもんなー。やられたりする脇役の方が正直魅力的。

まーでもとにかくラストの倉庫の造形だよなー。突然アレを持ち出してしまえる脈絡のなさはすげーし、それで上手く使えてんだか使えてないんだかよくわからないけどとにかくそこでたっぷりアクションを見せるのがすげー。

バッド・デイ -復讐の血-

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うーんこれIRA絡みだしバックグラウンドにめちゃくちゃ比喩があるよねー。主人公が農家農家ってバカにされてる辺りとか、アイルランドにも絡みがあるんだろーなー実際の出来事が下敷きになってるんだろーなーでもあんまりよくわかんねーなー。というかそういう下敷きになったものがあるとみないとちょっと納得がいかない感じの真相で、単純に復讐が連鎖するところもめちゃくちゃつくりが甘いというか「あーそうかー」で終わってしまいかねない。いやまあ親がなぜ殺し合いを演じなければならないのかわからないまま復讐を開始する、というプロットはある程度の普遍性があるのだろうけどなー。

しかし拷問がだいぶ面白いというか、まあこのオッサンがまともな拷問なんてできるわけないよなーとは思って見ていたけれども、キャンピングカーでのアツアツ鍋突きつけからのアイロン股間攻撃とかなかなかすごいよなー。男性性の象徴であるショットガンを最後まで使わないのはやっぱりこだわりなのかしら……とも思ったけど最初の殺人はそんな感じじゃなかったからまあちょっと違うか。しかし最初マザコンのダメなおじちゃんかと思ったらヌルッと任務遂行マシーンにスイッチだもんなー。それがあんまり違和感ないのも面白いよなー。

しかしポーランドって不憫。本当に不憫。

あるアスリートの告発

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「なんでその時声を上げられなかったのか」とかいう人間にはこのドキュメンタリーを投げてやれば良いんじゃないかなーマジで。まあこの作品の題材には、アスリートのエリート教育と紙一重の虐待問題も含まれてはいるけれども、まあそれも含めて女性が社会的に声を上げづらい構造がどのように生み出されているのかがよくわかるよねー。「me too」もあったけれども、最初に声を上げることの偉大さってのは大変よくわかる。

しかしなー、ホントにしんどい話だよなー。オリンピックが金権で……というのはロサンゼルスオリンピック以降の流れも色々読んだからよくわかるんだけれども、その下で子供が食い物にされているのはまあだいぶしんどい。国家の威信を背負って10歳からパワハラまがいの教育を受けて洗脳されて……みたいなのはなー、あんまりだよなー。「あの先生のところに行くとキャンディがもらえるし」という未成熟さには、本当に衝撃を受けますよ……

あとはコマネチね。あそこで体操の低年齢化が決定的になったというのはなるほどなーというかんじ。まあ確かに大学生にもなるとだいぶ体格が不利になっている感じ出しなー。

アポロ管制センターの英雄たち

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管制センターに焦点を当てたドキュメンタリーで「お、その視点はなかった!」という感じで大変期待して見始めたんだけれども、うーんもう一声! という感じ。単純にミッションコントロールの活躍を見たかったら「アポロ13」のほうがいいかもしれないねー。

そもそもミッションコントロールってたくさん机が並んでて色んな計器があるっぽいけど、あれって一体何の意味があるの? というのの解説の一端が聞けたのでそれは良かった。もうずっとそれをしててもらってもいいくらいなんだけれども、それが結構サクッとスキップされてしまったのは残念かなー。ロケット打ち上げのミッションコントロールをゼロからデザインする時に、何が重要でどんなトラブルがあって、どういうメカニズムで現場が機能しているのか……みたいな点こそ知りたかったなあとはちょっと思います。

あとはまあ、アポロ計画にまつわるドキュメンタリーは色々見ていたりするので、こんなかんじだろうなーというところ。まーしかしアレですね、採用されている写真が男ばっかりで、しかもタバコの煙で部屋が充満……みたいなエピソードを見ると、いやあそういう時代だよなーと思いますよね。やっぱり『ドリーム』での、ある種「科学的な見地にいるから男女平等に対しては偏見がない」みたいに捉えられかねない描き方は危ういところがあるよなー。

ザ・ファイブ・ブラッズ

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おーなるほどこういう風に語るのかーという感じ。ベトナム戦争のドキュメンタリーを予習していたので、途中で挿入される写真や映像・エピソードの数々を、あーううんこれ知ってるあの時のアレだ、と確認することができてとても良い。どんな映画でもそういう予備知識があることで理解は深まるんだろうけど、この映画の場合はそれが一際強いよなーと言う感じ。

なんにせよ思うのは「黒人の歴史」を語ろうとする意識の強さ。この延長線上でBLMを用いて話を締められると、うーんすごいなーと唸らざるを得ない。少なくとも日本人が中途半端な知識で「暴動は良くない」とか言えるような問題じゃないよなー。

あと黒人がベトナム戦争を通じてアメリカからの抑圧を語る話であると当時に、当然ベトナム人にもその当時の記憶が後を引いているという話でもあり、黒人とベトナム人がアメリカの遺産を巡ってフランス人の手引きで命懸けの殺し合いをするという、まーなんつーかひでー話ではありますよね。埋まっていた金が巡り巡ってBLMの資金になるとか、なるほどなーという話ではあるのだけれども。

ガンのお父さんが死ぬ間際に罪の意識を告白できる辺りはまあベタだけど良いなーって感じがする。全体的には力の抜けたロードムービーという感じで、ラストのわりとお座なりなランボーアクションも含めて、まあそんなに肩肘張らず見ても良いんじゃないかしらと思いました。