バグダッドでの国連のスキャンダルを追った映画、ではあるんだけれども、まあ事実が面白すぎるのでなかなか映画という形で何を見せるかが難しいよなーと思わされる。スピルバーグの『ペンタゴン・ペーパーズ』はやっぱりすごく気が利いていたんだなー。
この映画はやはり父親的な役割を果たすベン・キングズレーとの関係が焦点だと思うんだけれども、うーん、実はあんまり主人公側に感情移入できないとは正直思う。ベン・キングズレーへの信頼が揺るいだりするのを楽しむべきつくりだとは思うんだけれども、もう少し泥臭い共感できるところから入らないと、「まあ国連くらいでかくてそういう利権があれば、こういう行動とっちゃうのかもねー。っつうか賄賂はどう使ったの?」みたいに客観的に映画を終えてしまうよなあ。バグダッドに到着してからの異国情緒に触れるシーンとか市民の生活に共感する当たり前のパートが「まあ知ってるでしょ」って感じで割合吹っ飛ばされている感じがしたんだけれども、そこが結構致命的なんじゃないかなーと思いました。
あとどーでもいいけど車に乗り込むシーンで画面がヒキになると人間無意識のうちに身構えてしまうのね。あーこれエンジンかかったとき爆発するアングルだわ、というの。爆発しなくても結構そういう緊迫させるアングルが演出として使われているような気がするなーと思いました。