ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ブレイブストーム<BRAVESTORM>

 

ブレイブストーム<BRAVESTORM>Blu-ray【通常版】

ブレイブストーム<BRAVESTORM>Blu-ray【通常版】

 

飲み屋で監督と会って話したりする機会があったので観た。

いやー、すごいなーこの臆面もなさ。バックグラウンドに思想とかテーマ性とか全く入れずに、その場をパッチワークとオマージュで繋いでひとつの作品を完成させてしまった感じ、全然嫌いになれないです。まあ、口が裂けてもイイ映画なんて言えないし、人には勧めないけれど、こういう作品が世の中に出ていることは素晴らしいと思いましたはい。

と、基本的には姿勢に好感を持っているんだけど、単体の作品になるとどうもやっぱり全然乗れないのだよなあ。なによりバトルシーンのアップのガチャガチャした感じはもーちょっとどうにかならんものなのかなあ。まあ低予算だからしょーもないのかもしれないけれども、アクションシーンはもうちょっと格好良い動きを見たかった。巨大ロボもなんかスローで殴り合いをしているだけで、うーん自分には何が良いのかイマイチわからんなーという感じ。あのスーツはデザインが格好良くて、人間スケールでのバトルの方が色々描きようあったもんなー。

あと突然テレポートして敵の本拠地に乗り込む展開はさすがにビビった。アレができるなら是非最初からよろしくお願いします。まあ、あの尺で色んな問題を解決させようとするなら、都合上合理的ではあるんだけどさあ……

パンティストッキングのような空の下

 

パンティストッキングのような空の下

パンティストッキングのような空の下

 

最初のマンガで饒舌でどぎつくていったいどーなるかと思ったけどふつーに面白かったなあ……こういうクソ捻くれた題材なのにマンガとしてつるっと入ってきてずっしり届くのはとても良いと思います。生活保護とかナショナリズムとかメンヘラとか題材にして今の社会のしんどいところをがっちり拾っているのにこんな軽やかにまとめちゃっててもうなんかすげーなーマンガってすげーなーと思わざるを得ない。あそこでテポドン飛ばせます普通? いやー……しかもそれがなんか待望のって感じでスッキリしちゃうんだもんなー。ほんとマンガっていいよなー。

あとなんか全体的にしんどかったりブス顔だったりするヒロインが出てくる中で、ラストの彼女の突き抜けっぷりが本当に異彩を放っててウヒョーとなる。突然マンガキャラが出てきて底抜けのキャラクターで救済してくれて、いや多分現実にはそんな都合のよい女性が来てくれるわけないよなーとか思いながらも、思いながらも、でも、あーいう女性が存在する世界観を肯定的に思わざるを得ないとゆー。普通もう少し照れとかそういうの入りそうなところな気もするんだけど、いやー不思議。とても不思議。

 

この世界の片隅に

この世界の片隅に コミック 全3巻完結セット (アクションコミックス)

この世界の片隅に コミック 全3巻完結セット (アクションコミックス)

 

映画は大変よろしかったしその影響でコミックスは買っていたんだけれども、まあ時期的にもちょうどイイかなーと思って読み始めた、のだ、けれども。

まあ何はともあれあの白木リン周りのエピソードをごっそり削ったその決断にビビる。すごい。あのエピソードの有無で全然すずさんの性格の受け取り方が違ってくるし、また白木リンのifの展開を描く精度でラストのすずの救済の説得力も変わってきちゃうわけで、よくもまああの判断をしたよなあ。

実際、映画版はだいぶそこのわかりやすさが違ってるんだけれども、そのほかにも所々映画の方は演出であえてわかり辛く表現しているような箇所もあって、でも当たり前だけどわかりやすいことが正しいわけじゃないもんねえ。作品と受け手を信頼しないとできないことだよなあ。すごいなあ。原作の良さを堪能すると同時に、片渕監督の決断の余りのすごさに打ちのめされ、深夜にボロ泣きしてしまったよ。

でもまあこうなってくると追加で作られてる『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は見ないわけにはいかないなーって感じがする。ふたりの関係をどんな風に描いてくれるのか、いやー、超楽しみ。

なんて、映画との比較で感想を書いてばっかりだけれども、もちろんマンガとしてめっちゃ面白いです。超当たり前だけど。いやー、本当に幸せな読書体験であったなあ……

エディー&マーティンの逃走人生

 

13th -憲法修正第13条-』見てて本当に良かったと思うわ。ってかこれまんまあの映画で取り上げられていた問題をエディ・マーフィー主演でやったやつよね。いやー、ハリウッドって本当にこういう題材をきちんと取り上げ続けてきたんだなー。感心。囚人の労働力の問題やらがまさかこんなにストレートに撮られているとは思わなかった。ジム・クロウ法やらニグロリーグやらベタなところを抑えつつも、そんなに声高に政治主張はしない感じ。

まあしかしそういう虐げられた黒人の生涯を描くために、なんかこう全体の構成みたいなのはだいぶ埋もれちゃってる感じがするよねえ。あんなジジイになってからヤンキースの試合見るところに落ち着いちゃって本当にいい話なのだろうか。ちょっと捻った所長の決着の付け方も悪くはないけど、さすがに便所で死ぬはテキトーすぎないです? せっかくミシシッピの刑務所の白人の責任者が懺悔したんだから、ねえ……

年代ジャンプが多い作品だけれども、途中60年代から70年代辺りのモンタージュがもう濃すぎて困る。あれだけ短期間に濃密な出来事がガンガン起こると、主役ふたりの年齢感がよくわかんなくなってくるよね。

あとどーでもいいけどリー・アーメイはその死に様含めておいしすぎるでしょう。後半展開がぼやけがちだっただけに強烈な印象。

We Love Television?

 

We Love Television?【ブルーレイ版】 [Blu-ray]

We Love Television?【ブルーレイ版】 [Blu-ray]

 

いやー、これドキュメンタリー映画としてはだいぶ詐欺だよなーと思う。もう完璧に萩本欽一で保っている作品になってしまっていて、この挑発的なタイトルやら土屋Pの名前をガンガン出すやりかたやらは本当に誠実には思えない。ましてドキュメンタリーの取材中に震災がやってくる状況で、作家としてはもう最高にテーマとなり得る奇跡が起こっているはずなのに、「子役を配置しました」くらいでヌルッと先に進んじゃうのはもう本当にわけわかんねーなあ。「おかあちゃん」というテーマが震災後のコメディを正当化するに足る題材だったってこと? オレには全くそうは思えないけど。

あるいはこれは自撮りを行ってドキュメンタリー風にエンターテインメントを作ってきた土屋Pと映画という表現方法との圧倒的な食い合わせの悪さなのかもしれない。高須光聖もテレビではなるほどなあって感じだけど映画は本当に映画にならないしなあ……

まあとにかくドキュメンタリー映画として本当にダメ。全体に一本の筋を通すのがカウントダウン、というのもまあいかにもテレビっぽくて笑ってしまう。ドローンだけじゃごまかせないでしょうあれ。あと何はなくてもエンディングの白々しさは本当にクソだなーと思った。てきとーになんか良さげなワードを並べたポエムで音楽どーんされてもねえ、失笑しかない。悪い意味でテレビって感じ。

しかし逆に萩本欽一はテレビのコメディアンなのだなーという魅力は炸裂していて、序盤のネタ出しは「えー?」って感じが満載だったけど、いざ稽古に入って無茶ぶりをガンガン出して行くのはガチ感があってなるほどなあと見入ってしまいました。そしてそれにきっちり答える河本準一のポテンシャルの高さは、まあ当たり前だけど感心させられるよね。ケチャップのアオリのカメラが一番印象に残ったもんこのドキュメンタリー。

紅海リゾート -奇跡の救出計画-

www.netflix.com

うーん……これめっちゃ面白いはずなのになんか全然ピンとこないんだよなー。なんでだろ?

やっぱり普通に映画としてのつくりが甘い感じなんですかね? 『アルゴ』とよく似てるけど、あれは映画を巡る映画にすることでテーマ性がグイッと前に出てきたからなあ。こっちの映画はホテルを舞台にしておきながら、そこら辺ぞんざいと言えばぞんざいだし。あとユダヤ教がバックグラウンドに敷いてあるのもなかなか図式の歯切れを悪くしてある感じはするか。ヒューマニズムによる行動、ではあるのだけれども、そのバックグラウンドに宗教とか政治とかがゴリッと見えてきてしまう感じがしてねえ……いや、その当時のエチオピアの状況が全くわかっていないのでなんとも言えないんだけど。迫害されるユダヤ人のイメージが自分の方に弱くてだいぶ損してるんだろうなーとは思った。

あと局所局所に結構気が利いたエピソードがあって、例えば最初にお偉いさんと会うところでパンパンする音に「反乱分子が多いが最近減ってきている」って説明つけたりするのは大変良い。でも肝心のハラハラドキドキなエピソードのつくりが弱いんだよなー。実は銃弾が外れたからセーフとか、実は既に人が抜け出してましたとかそんな呆気なく困難をすり抜けられるともうちょっと頑張ってくれよーと思ってしまう。

海獣の子供

www.kaijunokodomo.com

ニューエイジ! ってかんじ? なの? ラッセンなの? いや全然違うけど。

いやーギリギリ映画館に駆け込んだ感じなんだけれども、まあ映画館で見られてよかったですなー。音楽周りの満足感も大変強くてよろしいよろしい。噂には聞いていたけど歌詞付きで流れたエンディングがとてもよろしかったなー。

思い出すのは『ツリー・オブ・ライフ』で、まあああいう映像の迫力の暴力を延々映像でガツガツぶつけられる感じ。しょーじきこれどこまで連れて行かれちゃうの? って思いました。割と呆気なく返ってこられたんでこりゃもうサイケなトリップだなーという気もしなくもなかったですけど、まあそういう感じ。

ストーリーとかはコミック読むともっと丁寧だったりするのかしら? まあお話としては結構しんどいつくりではあるよね。でももう絵作りとかはしっかりしていてさすがの4℃って感じで、そこら辺を見ているだけでもまあ全然保つなあという印象は受けるけど。

うーん、しかしまあ笑っちゃうけどホントになかなか言葉にできないよなー。ヒロインの全く色気がないんだけれども不意の仕草でめっちゃ色気が出ちゃう感じとか、突然のプルプルコラーゲンのもう意味わかんないくらい強烈なプルプル感とか、そういうの見ているだけで大変満足しちゃうもんなあ。