ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ミラダ 自由への闘い

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チェコスロバキア舞台の映画。

ミラダって人の立ち位置が全然よくわからず状況の説明もカッ飛ばしているので、そこら辺は知ってる人向けの内容って感じ。当然自分の知識では東欧の歴史なんてカバーできていなくて、辛うじてプラハの春とかが思い浮かぶくらいだから、このくらいの時代ではわかんねーよなー。まー漠然とナチスが来てそこから共産主義がきたんだろーなーという流れレベルでしかわからん。

そういう前提知識がある人向けの作品であるので、その省略に色んな感情を揺さぶられるのだろうなーとは思う。余計な出来事を徹底的に省いて、しんどい主人公の感情にフォーカスしている感じ。それはまあ方法としてはアリなんだろうけど、前提知識のない自分はちょっと乗り切れない感じもあった。ちゃんと演じてはいるのだろうけれども、もう少し主人公に感情移入できても良い作品だと思うんだよなー。たぶん映画ではなくて観ているコッチ側の問題だよなー。

しかしなんかよくわからないけれどもとにかく移動する車と花束を持つ少女の絵が繰り返されるのが大変印象的な作品であって、空撮との出し入れでリズムを刻んでいくのがとてもよい。編集も思い切ってジャンプしてばかりなので、一瞬時間が巻き戻ってしまったんじゃないかと思うあの不安感はかなり素敵なのであった。

 

天気の子

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この実家のような安心感はなんだ……!?

色々なところで話題になっている作品ではありますが、まあ話題になるのも分かる。新海誠のストーリーって基本的には構造がしっかりしてなくて、それが『君の名は。』でようやく本筋がしっかりしてて展開にも工夫があってちゃんとしたお話になってる! と思ったら、自作では工夫せずに本筋だけでガン! と勝負するお話になっていて、あーこれは確かに新海監督だしイイ感じの着地点だよなーと思った。大変思った。

そしてまあとにかく現在の都市を肯定的に描くことに注力しており、フツーそんな都市をああいう風に描写した後にあんなオチがやってきたら、変化後もをスーパー美術でステキに描いてくれるのかと思うじゃん? でもそこら辺ほとんどやらずにオチにドン! というのはすげー不思議な感覚である。まあ言ってしまえば変化する街としての東京を肯定しているともいえるのか。

ストーリーは一般的に考えたら大人を悪人然として描きすぎて鼻白むところだけれども、新海監督の求める世界観を忠実に表現するならああなるほうが真摯なのかしら。でもなんであんなにデフォルメ強くしなきゃならなかったんだろう? 全体的に都市はこれ以上ないくらいに今の時代を切り取ることを是としていて、日常の会話もかなりナチュラル志向だったのに、リーゼントと過剰なおっさん声で突然リアリティレベルが変わってしまうのがやっぱり引っかかるよなー。あ、あとどうでもいいけど噂の本田翼は結構しんどかったです。

あとRAD名曲がん! と来てるのにアガらないのはRADへの忠誠心がたらんのが原因なのだろーか。あんなところで聞き慣れたあんな曲流されたらフツーもっとジーンと来ちゃうような気がするけどなー。全体的に音楽はもう一声って感じがしました。

グレート・ハック: SNS史上最悪のスキャンダル

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こ、これは控えめに言っても必見のドキュメンタリーではなかろーか。めちゃくちゃおもしろい。っていうか先日の選挙前に観るべきだったよなー。

ブレグジットとトランプ大統領選の裏にFacebookから流出したデータが絡んでいる、ってニュースは確かにちらっと聞いてたし、ザッカーバーグが公聴会みたいなのに出ていたのも見かけた記憶があるけれども、まさかこんなことになっていたとはねー。FacebookとかTwitterとか日本でもガンガン使われてるんだし、もうちょっとちゃんと話題になってもいいと思うんだけど、いやー、暢気だなあ……。まあ、こんなんじゃネットの世界で勝てませんよね。

とはいえ先日の選挙でもやはり分断とかプロパガンダの影響とかはガンガン感じたところもあって、そこら辺についての知識を前もって持つことは重要になってくるのだろうなあ。まあ結局ここで問題になっていることは、情報の伝播速度が一気に上がったり情報発信のコストが下がったことで異様な化学変化を起こしちゃったけど、基本的には新聞やテレビのマスコミが機能しだしてからずっとあったことの延長線上の出来事だよね。基本的にはどうやって社会とコミュニケーションをデザインしなおしていく? という問題で、今更後ろに戻ることはできない性質のモノなんだろうけど、しかしこれ答えの見えない問いだよなー。自分の情報管理の権利があったところで、果たしてこれって根本的に解決しますか?

あと題材的にFacebookがメインの悪玉になっているけど、Google Apple Amazon んじゃああたりはどーなってんの? というのはフツーに思うよね。Amazonは顧客情報とかあるし、AppleなiOSがクソヤバそうだし、Googleに至ってはもうどこまで情報を持っているのやら……かといって今更GAFAがない時代には戻れないし、邪悪にならないことを祈るばかりじゃいかんのだろーなあこれ。

サンシャイン・メイカーズ: ドラックカルチャーの立役者たち

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LSDをガンガン流通させていたひとたちのドキュメンタリー。

まああの時代の映画を観ているとホントにヒッピーとか意味わかんねーので、こういうのでなんとなく空気感を掴んでおきたい気分にはなる。っていうかオタクのドラッグの密造がそのままベトナムまで一直線に繋がってしまう世界はホントダイナミックすぎるだろ。ニクソンがパブリックエネミーナンバーワンしちゃうし。やっぱこの時代おかしいわ。

まあ当然メインどころの男たちはみんなスピリチュアルな方向に行っちゃってて、言葉の端々から見えてはいけないものが見えてしまっている感があって面白い。「あいつがグループから抜けたのはLSDが足りなかったからだ」とかもう笑うしかない。

しかし刑務所の下りは最高だよなー。彼女にドラッグを風船の中に詰めてもらって、面会キスでゴクンと呑み込んで、あとでうんこから取り出してゲット! ってふつーにそれだけでも爆笑なんだけど、そこからフツーに部屋でトリップするばかりか食い物にLSD混ぜてムショ中ラリラリにして「俺たちは自由だ」とかホントマジで自由すぎだろ。ってか風船は体の中で破れたりしないのだろーか。まあ色々アングラ本とか読みあさってる人っぽかったから、そこら辺も既に確立されたノウハウがあるのかなー。

あとどうしてもカナダの下りのあまりにカナダっぽいところは大変微笑ましい。身分証明書手に入れて釣り人の格好して国境をスルッと抜けちゃうとかいかにもって感じだし、そのまま20年潜伏生活してドラッグをガンガン密造して、捕まったときは全カナダ人が2回ラリれるドラッグがあったとか、なんかもうザ・カナダって感じ。

世界の終わりに問う賛歌

 

世界の終わりに問う賛歌 (ガガガ文庫)

世界の終わりに問う賛歌 (ガガガ文庫)

 

うーんこういうラノベが読めなくなったなあ。苦痛で仕方がない。

もちろんそれは自分の歴史への知識が多少は深まったからってのもあって、そこら辺を殊更に責め立てるのはアンフェアってのは自覚している。テロの定義とか弱小国家がどうやって技術立国になったとか戦争に対する考え方とかもうそこら辺は目を瞑りましょうと思う。飛行戦艦が戦術上どんなアドバンテージがあるのかとか切り札を先に明かす外交ってなんやねんとかそういうのは置いておこう。戦場の描写がないとか個人的にはあり得ないと思うけどまあそこもこの際いいや。

キャラ。せめてキャラはちゃんとしてくれ。とにかくこのヒロインのどこが聖女だ。スラム街に心を痛める優しい描写程度で聖女レベルに格が高まったら苦労ねーよ。ってか国家の状況を見て戦争に自ら手を貸すヒロインをなんの留保もなくポジティブに描いてしまってるのってひどすぎるだろ。それただ戦争に利用されてるだけじゃん。弱者を打ち倒す決断のできる人間を「優しい」というなら、それはそもそもエンタメにおける優しさの属性について考え方を間違ってるでしょう。

ってかさー、そもそも「精神的苦痛」でオッケーが見過ごされている国はマジであり得ない。そんなん拷問始まる前に苦痛ゲージ高まるに決まってんじゃん。ってか性的拷問もアリとか書いてたじゃん。そんな無能が集まった集団に国家の存亡を懸けるプロジェクト任せる国なんてとっくに滅びろよ。

まーしかしですね、そういう意味でいうと一番ヤバいのは拷問のプロのはずの主人公で、冒頭のエピソードからいきなり失敗してるのはあり得ないでしょう。被験者との距離感のとりかたも致命的で、ヒロインとの距離の取り方に注意を払わず人間性が揺らぐとかマジで素人にしか思えない。「精神的苦痛! これならイケる!」って発見が「やっぱダメでした」でクッソ雑にひっくり返ったと思ったら、挙げ句「自分も傷を負えば免責されるでしょう?」って今更されるわけねーだろ! なに都合で自分に罰を与えて贖罪っぽくしちゃってるんだよ! お前のしてきた拷問がそんなレベルで赦される分けねーし、そもそもプロなんだから覚悟がまず大前提としてあるべきだろ。

いやー、しんどかった。

ボーイズン・ザ・フッド

 

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なんか黒人の文化を続く映画が続いてしまったのだった。こういうのってどういう流れで撮られてるのかなあ。マーケティング的にもどうなってるのか割と気になる。

いまだかつてこんな教育意欲に満ちた映画はあっただろーか、いやないという感じで、こんなストレートな教訓に満ちた筋書きを描かれるとだいぶ恥ずかしくなってしまうなあ。話としては正しい作り方なんだけれども、正しさを突きつけるだけだったらあらすじだけ読めばすむことでなあ。オヤジの説教とかも正しさを突きつけたい気持ちがプンプン漂ってきて、観ていて正直しんどかった。ってかなんであのオヤジはあんなに聖人みたいなキャラなんだろう。ある種の願望みたいにも感じるけどなー。挙げ句正しいセックスまで指導してくれちゃったりしちゃって、うーんだいぶしんどいわー。

そういうストーリーの筋には割とゲンナリしてしまうのだけれども、一方でこの画一化された規格の住宅街とか、周囲に捨てられたゴミが廃車と共に延々放置されている感じとか、そういうバックグラウンドとしてしか描かれていないものはハッとさせられるなあ。あとはヘリの音が窓の外に聞こえる辺りとか、そういう間接的な治安の悪さの描写の方が、直接警官に銃を突きつけられるより全然怖いのだった。

アンクル・ドリュー

 

「老人がアクションをする」ことはそのまま映像としての説得力に繋がるのだけど、まあ当然この作品では特殊メイクをした若者が老人を演じているだけなわけで、まあ「特殊メイクすげー」という感想になってしまうよね。それはそれで全然悪くないはずなんだけれども、フィクションってのはなかなか難しいもんだなーと思ってしまう。肉体のアクションそのものに驚きを求めてしまうよねー。

しかし冴えない黒人とか老いた黒人視点の映画で、しかもガンガンコメディをやるというのはなかなか触れてなかったもんで面白い。車の中で音楽の趣味をあーだこーだいう辺りの空気感はホントにたまらんなー。

しかしまあストーリーはかなりフツーというか呆気なく、通り一遍のエピソードしかやっていない。だから突然始まるダンスバトルみたいな本筋に関係ないところでどれだけ気が利いているかみたいな所もあるよなー。ぶっちゃけ一番面白かったのはエンディングのNG集だったりするもんなあ。

まーしかしこういう題材でリアルに真面目にやられてもしょーがないしこれはこれでいいのか。調べると元々はペプシのCMから派生したプロモーション的なヤツっぽいし。全然ペプシのプロモになってるような感じはしないけど……