ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

サウスポー

 

サウスポー Blu-ray

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いやードン引き。なにあのラストシーン。少しでも知能がある人間ならわかることを、なんでテレビ実況の声を載せてわざわざ説明してるの? 感動的なシーンを描写するときナレーションで「感動的なシーンです!!」って入ったら興醒めするじゃん。しかもリアルの話ならまだしも作り物のフィクションだよ。呆れるしかないんだけど。

丁寧というよりもむしろ鈍くさい脚本で、省略して良いところと省略すべきじゃないところを取り違えてるんじゃないかなーという感じ。自分が見落としてるんじゃないかとすげえ心配になってしまったよ。

あとタイトルにもなってる必殺サウスポーが残り一分で炸裂! とかもう呆れてものが言えない。今の時代そんなリアリティでボクシング映画創ります? いやまあ最初からチャンピオンが主人公で、それが1度どん底になった後再びチャンピオンに返り咲く、という全くリアリティの置き場が難しい題材なのはわかるけどさー。超ドラマになるだろう敵側の描写も、殺人事件の取扱が難しいからテキトーに放置してテキトーにラスボスになるだけだもんなあ。

妻を失ったダメ男と子供の話を描くのに注力するのだったら、むしろチャンピオンなんて投げ捨てちゃっても良いわけで、そんなんパンチドランカーを恐れてチャンピオンを降りる話の方がよっぽど見たいよね。なんか色々テクニックつけちゃって現チャンピオンを下しちゃうとか、うーん、能天気すぎてどうもついていけない話だなあ。

マイケル・ムーアの世界侵略のススメ

 

マイケル・ムーアの世界侵略のススメ [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

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『公共性』を読んだ後だからもうめちゃくちゃ楽しかった。マイケル・ムーアって今までいくつか映画を見てたし編集とかすげえし問題の切り口が超楽しいしで、うーんすごいなあとは思っていたけどさあ、ようやくこの人が何をやっていたのかが理解できた気がするよ。というかあの展開の中で突然フェミニズムをブチ込んできたり、ラストに結構無理矢理な感じでアイスランドに行って『キャピタリズム』の続きをやったりで、この監督の思想ってのはもうこれ以上ないくらいに、公共性に関わる問題を訴え続けてきたんだなあ。当時トランプはまだ当選していなかったはずだけど、それでもこういう視点からアメリカという国を捉えてドキュメンタリー作品を創っていたんだなあということに、まあ唖然としちゃうよね。そりゃまあ、トランプ当選後にあんな的確なコメント出しますわ。すごい(今更)。

とまあ、ラストでアメリカ発のアイディアだよというオチがつく辺りも含めて、構成の妙が光る作品ではございますが、それ以前に単純に各国の文化紹介としても大変面白いよなあ。特にグサッとくるのはやはりドイツの下りで、そりゃまあ街中にあんなにたくさん歴史的な出来事を振り返る機会が転がっていたら、生活している人間の意識も変わるよね。それに引き換え日本は……みたいな話法はどうなの? とも思うけど、メルケルとかの振る舞いを見ているといやー、やっぱり比べて見てしまうよなあ。

公共性 (思考のフロンティア)

 

公共性 (思考のフロンティア)

公共性 (思考のフロンティア)

 

うひゃあめちゃくちゃおもしれええええええええ!!!!

最近Twitterとかで、キズナアイやらなんやらでフェミニズム絡みの言及があったときに、そこで使われている「公」って言葉のイメージが自分の持っているものとあまりにも乖離があって、1回ちゃんと勉強しておかねばなあと思って読んだらドンピシャだった。『人間の条件』とか大学時代に読もうとしてそのまま積んじまったけど、いやー、ようやく読み進められる年齢になったってことなのかしら。遅い。

なにより一番ためになったのは最初の「公共性」が近年日本でどのように捉えられてきたかの歴史で、そもそも官製用語であったというのがなるほど納得である。だからこそ日本では国と公のイメージが大きく重なり合うってのは納得。でもってそれに対抗して、NPOなんかの盛り上がりで市民社会側からカウンターを打つ公共性のイメージができたのが90年代くらいから、というのもめちゃくちゃ納得感がある。確か前にシーシェパード絡みの本を読んだときも、日本が高度経済成長期を迎えていたことが原因で、環境保護とか市民団体側の活動が抑制されていたのだー、みたいな話があった気がしたんだけど、まあそれと並列した現象よね。

なぜ公という概念が「オープンであること」と密接な繋がりがあるのかがカントに遡って解説されているのも面白かった。ヨーロッパの思想ってこういうところで現代の社会の成り立ちに関係しているのかという驚きがある。

「公私」を区切る線が実は流動的というのも大変勉強になった。でもって身体性に引きつけられるその私の領域を公に近づける上で、フェミニズムが果たした役割が大変大きいというのも超納得。LGBTとかの運動も、「公」という概念の線引きを拡張しようという活動とみれば反発が出ること含めて合点がいく。大変スッキリ。

「経済的なもの」と「社会的なもの」が第一次石油危機あたりから離反しはじめた、という話も超面白くて、というかむしろそれ以前はその両者が幸福な関係にあったというのが自分にとっては発見である。なるほど確かに考えてみればその両者は排他ではなくて、うまく社会をデザインすれば全然上手く回ってもおかしくなさそうだもんなあ。

そして何より2000年とかの本が「分断」を公共性の一番の敵として問題視しているのが最高に慧眼って感じ。20年近く経ってもうそれが目に見えているよね。その解決法としてインターネットが機能するかも、と書いているが、むしろインターネットこそがその分断、というかむしろ敵対を強化しているというのは皮肉だよなあ。

ページをめくる度にうおーすげーと唸ってしまった本。最近のインターネットにつらさを感じている人は入門書的に読んでもおもしろいと思いました。

ミラクル・ニール!

 

ミラクル・ニール! スペシャル・プライス [Blu-ray]

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ふへー、これテリー・ジョーンズ監督でパイソンズが出てきてる映画なのね。いやあなるほど色々納得。世の中的には映画のデキがガッカリされているみたい? だけど、俺はあまりモンティ・パイソンを崇拝していないというか良く理解できていないので、いやまあ全然こういうものとして楽しんだけどなあ。

そもそもの発想が「宇宙人の気まぐれでなんでも可能になったら?」というしょーもないもので、でもそのしょーもない発想をサイモン・ペグがしょーもなく演じて、しかもその使い方が全体的にしょーもないというのは、まあ普通に嫌いにはなれないよなあ。だってこんな枠組みでシリアスな世界を変える話とかしても絶対風呂敷たためないじゃん。なんかこう、ビミョーな数の人間を使ってSNSとかを活用するのではなく地道なリアル活動で教祖を描写する、そのしょーもなさを受け入れる映画だよなあ、と思う。地味にヒロインの心理を操作することを避けているのも、まあもちろん必須ではあるのだけれども、とても正しい能力の扱い方だと思う。

あと気に入ったのは犬の使い方で、ああいうクソみたいなキャラクターってめちゃくちゃブラックジョークが効いてて面白いんだけど、効きすぎてて流石にひくわー、ってなりかねないところを、アホ犬のかわいさで突破してしまうってめちゃくちゃズルい。犬ありきでストーリーをぐわんぐわん回した末にオチまでちゃんとそいつでつけちゃうんだからなー。いやあ、なかなかの犬映画でありました。

ブロンソン

 

ブロンソン (字幕版)

ブロンソン (字幕版)

 

なんなんだろうこの映画は。こういう題材だったらもっと過激にわかりやすいお話だってつくれそうな話じゃないですか。でもドラマらしいドラマと行ったら、刑期を終えて外に出たときのラブロマンスくらいで、あとは延々延々暴力を振るっているだけという。しかも別に相手を殺すこととか脱走することとかが目的じゃないんだもんなあ。ここまで徹底して暴力を振るうことそのものを目的にされると、もう突き抜けて何か別の価値を生じさせてしまってる感じさえする。そこから何かを読み取るとかそういうのがワリとどうでもよくなる、奇妙な映画体験って感じ。

事実は小説よりみたいなのはリアルを下敷きにした映画で良く感じるアレだけど、しかしこの映画に関しては事実の意味がよくわかりません。精神病棟に閉じ込められてる辺りがこの映画で一番絶望的なシーンだと思うんだけど、そこから先っていったいなにが起こって出られたの? あそこから開放される理由が全然わからん。あとなんで有名な人間になってるのかもサッパリである。刑務所内で暴力振るう側のことしか基本描かれていないから、外部の反応があって映画化までいっちゃう流れが、もう全然これっぽっちもイメージできない。うーん、ホントに謎の映画である。さすが『ドライヴ』の監督、一筋縄ではいかんなあ。

Strange Telephone

play.google.com

Strange Telephone

Strange Telephone

  • Yuta Yamamoto
  • ゲーム
  • ¥480

レビューとかで見かけたので買ってたのだが放置していてようやくクリアした。

なんというか、習熟したり攻略したりといういわゆる「ゲーム性」というよりも、雰囲気注力でプレイ体験に重きを置いてる感じの作品。

雰囲気については正直あまりドットでホラーみたいなのにピンとこないタチなので堪能できた感じはしないけれども、直感的に気持ちいい動きやわかりやすい操作や良く描かれているキャラクターなど、「おーすげー」と素直に感心できる点が多々あって良かった。

ステージが電話の桁数分用意されていて固定、それをゲームの外部で共有などしてもらって、固有のゲーム体験みたいなのを用意するみたいなのがデザイン的な狙いのような気がするのだけれども、正直そこに関しては上手くいってるかなー? という印象。攻略のための道筋というか、アイテムの汎用性がもうちょい多ければ、また特別なゲーム体験をユーザーに提供できたのではないかなーと思う。アイテムの使い方がノーヒントでも、道筋がたくさんあれば偶然……みたいなこともありえるしね。あるいはアイテムの組み合わせで進展があるステージにはなにか特殊なエフェクトを置くとか。現状ノーヒントでやることにメリットがちょっと少なくて、かなり前のめりにプレイしている人しか楽しめない創りになっている気はするので、大変もったいないなーと思った。

潜入者

 

潜入者 [Blu-ray]

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最後結局引退しなかったんかーい!! 何はともあれそれが衝撃。あの展開で潜入捜査辞めないというのはちょっと信じられないし、そういうクレイジーなところが魅力の映画だよねえ。あの結婚記念日ケーキで切れるシーンがとても良くて、そんなのを見せられて幻滅する妻を描きつつも、なんだかんだ夫婦関係は続いてるわけだしねえ。いやー、とんでもないキャラクターであります。

バリー・シールの名前も出てきて「おー!」と思ったけど、やはり事実に基づいているという破壊力が大きくて、結婚式で逮捕劇とかホントにやったんですか? マジで? こんなドラマティックなラストなら、まあこういう控えめなカメラで撮っても全然オッケーよね。あーでも改めて考えると、あのシーンでの主人公側の表情は確かに潜入捜査続けそうでもあったよなー。前の夜に婚約者役を慰めてるシーンの表情もそんな感じだったしなあ。

ところどころベタなドキドキ描写を入れて潜入バレの危機をほのめかしながらも、意外な展開やら機転やらできちんと危機をクリアできるのはザ・エンターテインメントで良い。とはいえこういう話って最近だとギャッと編集してギャッと省略してギャッとオシャレに見せるやり方を見慣れてしまっているので、ちょっとだらっと感じられてしまうところもないではないか。