ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

コクソン/哭声

 

コクソン哭声 [Blu-ray]

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ホント韓国映画は冴えない中年のおっさんをメインに据えるのが好きねぇ、とか思ってたら國村隼まで持ってきてあーそう来ましたかという感じ。イケメン皆無でよくやるぜ。

オカルティックで結末が宙に浮くような作品だけれども、日本人とかキリスト教のパーツをからめてこれをやるのはおーなるほどという感じ。怪しい異邦人として日本人を描く韓国映画って、まあ明らかに歴史的文脈を裏に敷いた見方が強要されちゃうわけで、そのキャラクターを善の側におくか悪の側に置くかってのはメタな意味で興味深い、というかポリこれやらなんやら絡めてそういう見方しちゃうもんなのよね。で、それがそのままこの映画が語るストーリーと絡まって、説得力を増してる感じ。韓国文化におけるキリスト教の立ち位置なんかを知っていれば、もっととっかかりがあったのかしらねえ。蛾のあたりとか絶対後ろになんか敷いてあるはずなのに全然わからないのであった。

でもなあ、映像的にはいかにもそうとしか思えない編集をしておいて、しかしそれを揺さぶるやり方が、なんか知らんけどすげえアンフェアに感じられるんだけどなんなんでしょう。フェアとかフェアじゃないとかそういう問題なのはわかってるけどさあ。突然の女性キャラをポンと投げ込まれたところで、編集にあまりにも強い作意を感じて、作品とちょっと距離ができてしまったんだよなー。

あとまあ、これって怖い話なんでありましょうか。韓国文化で育つとワケのわからん日本人が山奥で住んでたりするとゾッとするのかしらねえ。まあ日本でも一部地方の農村が外国人嫁迎えまくって別の国の文化で上塗りされてたりするみたいだから、そういう地続き感から考えると怖いのかも。

横浜駅SF

 

横浜駅SF (カドカワBOOKS)

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うーん面白いんだけどちょっと一発ネタ過ぎるなあというのは正直ある。主人公の行動指針がかなりふわっとしていたり、それぞれの出来事の都合が良すぎたり、うーんこの世界観でこういうリアリティで話が展開して本当にいいのか? という疑問が度々頭を過ぎる。途中で突然出てきた別視点のストーリーも、まあ別に面白いのだけれどもストーリーを展開するためにこの視点を描かなくてはならなかったみたいな意図を結構感じてしまい、うーんやっぱりもう少し物語としての納得感が欲しいなあという感覚は、拭えない。

けどまあそれを補うだけの魅力が一杯に詰まっている作品ではあって、一発ネタだって一発ネタできちんと面白けりゃそれで全然オッケーじゃんという気はする。だってこれ横浜駅自己増殖でスカイネットでおー一本デキるじゃん! みたいなワンアイディアの拡張でしょ? それをこれだけのアイディア詰め込んで展開してもらったらもうそれだけで満足って感じですよ。自己増殖する駅がどのようなルールによって自らを拡張させていくかって純粋にSF的な記述だけでもうわっはっはっはおもしれーという感じ。そういった環境で生まれ育った人間の思考回路にどのように変容しているかってところの描写が結構ロジカルで、もうちょい土着感満載で読みたかった気はまあしないでもないけど、まあ、そこまでは難しいよねーって感じがしました。

タロットカード殺人事件

 

タロットカード殺人事件 廉価版 [DVD]

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マイリストにウディ・アレンはたくさん入ってるけどなんでか観るのに気合いがいるんだよなー。なんでだろ。別に見始めれば面白く最後まで行けるのになー。まあしかし見て「上手いなあ」とは思うけど「驚いた」とはならないのが原因なのかもしれない。

この作品もまあそんな感じで、シンプルでいかにもウディ・アレンっぽい要素で殺人事件していて、情報量のコントロールも適切だしユーモアもあるしでまあ観ていて全然飽きさせない。前提としての超常現象でグッ! と客を掴んだ後は、適度なサスペンスと適度のどんでん返しで正しく物語が展開していく感じ。オチの茶目っ気のある展開は意外性はあるけどちょっとどんでん返しが見え見えかなあ。まあそこに至るまでのウディ・アレンのアメリカン主人公パートがひっくり返される展開がメインだろうから、別に良いのかしら。

しかし今まではあまりウディ・アレンの役者としての芝居に共感できなかった気がするんだけど、今回の作品は「あーわかるわかる」ってなったのはなんでだろう? 最初の冴えないマジックの微妙な受け方が映画全体のトーンとマッチしていたからだろうか。それとも自分があのおかしみを受容できる年になったってことなのかしらねえ。「絶対に行かない」やっぱり行くの天丼とかは、まあベタベタだけどやっぱり好感を抱いてしまう。

アノマリサ

 

アノマリサ [Blu-ray]

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まーたこの人変な映画撮って!

まあなにはともあれコマ撮りとは思えないあの濡れ場に尽きる。人形同士のセックスといえば問答無用で『チームアメリカ』を思い出してしまうわけだけれども、あのアクロバティックジャパニーズAVダイジェストとは違って、もうじっくりねっとり前の段取りをやるあの感じ、何? いやまあね、最初の方からちょっと普通ここまでじっくり取らないよねーましてコマ撮りアニメでしょ? ってシーン満載の映画ではございましたが、まさかあそこであんなことやるなんて……何なのコレ?

他にもどんだけ手をかけたんだよむしろCGで後付けしたんじゃないの? って感じの水滴表現やら、ぶわっと広げて煽る上着の布表現やら、もうなにこれ観たことない、というシーンが満載。で途中思い出したんだけど、あー、そういえば3Dプリンタでコマ撮りアニメがすげえことになった、って記事どこかで読んだけど、コレの作品でしょ! 確かにこれ画期的だよなあ……って待てよ? 3Dプリンタで作ってるってことはすでにモデリングされてるってことじゃん! それCGアニメで良くね? なんか本末転倒してね? なんて素人考えをしてしまったりするのだった。

しかしなんでこのストーリーがこの表現方法でなければなかったのかはわかるようでわからないようでやっぱわからん。まあこの質感でなければあの前戯はクソ恥ずかしくて観れなかったかなーとは思うけど、確かに現実/妄想の狭間を曖昧にボカしてラストの人形に繋げるには有効だなーと思うけど、しかしそれだけでこんな手間暇かかる題材は選ばんよなあ……やっぱり話が理解できてないのだと思う。

恐怖の岬

 

恐怖の岬 [Blu-ray]

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『ケープ・フィアー』ってリメイクされた映画であることに見ながらようやく気付くのだった。正直見た記憶が朧気すぎて話とか全く憶えていないのだけれども、ロバート・デニーロがなんか強烈な役で出ていたような記憶は朧気にある。最後のボートのシーンはなかなか印象に残っていたような気はする。あまり良い印象はないけれど。

でまあこのリメイク元はどうかというと、まあ大体モノクロでバーナード・ハーマンが流れてくるとヒッチコックっぽく見えてしまい、でもって序盤のストーリーも超ヒッチコックっぽくて、あーうんうん良いぞこのサスペンス感はどこにたどり着く? と期待するがヒッチコックっぽい捻りもなく普通に着地してしまうのでもう最高に食い足りないのだった。いやまあヒッチコックっぽさの先入観を抜いたとしてもだよ、ちょっと展開が少なすぎるんじゃないかしら。明らかになった敵側の動機もワリと凡庸だし、中盤の恐怖のエスカレートのさせ方ももう少しできそうな感じだし、恐怖の岬なんて大仰なタイトルつけたワリにはラストの決着の付け方もそれでいいのかなあ、という感じ。おいしい入りのワリには色々残念で、あー、そういう意味ではスコセッシもリメイクしたくなるのがわかるかもしんない。

しかしなんでこうグレゴリー・ペックは弁護士の役になるのだろうか。俺が偶然弁護士やってる作品を多く見ているだけなのか。

幻の東京オリンピック 1940年大会 招致から返上まで

 

幻の東京オリンピック 1940年大会 招致から返上まで (講談社学術文庫)

幻の東京オリンピック 1940年大会 招致から返上まで (講談社学術文庫)

 

ということで最近連戦の東京オリンピックシリーズ。

色々興味を持った理由はあるんだけど一番デカいのはロゴ問題で、1940のオリンピックロゴの富士山のアレが「これでいいじゃん」とか取り上げられたのが最高に気に食わなかったのだ。だって富士山ってあれ「日本一」な国家の誇りを誇示するマークでしょ? 1964の日の丸の普遍的な太陽信仰とか戦後の復興とかに比べたらキッツいなあと思うわけで、んじゃあそのころのオリンピックってどうやって捉えられてたのかが知りたかった。あと、普通に大正から戦前にかけての時代って面白そうだけどよくわかんねーよなーという感覚があったから、というのもある。

でまあ読んだんだけど、いやー、しんどいですねこれ。折衝折衝折衝の話。オリンピックがいかに政治的であったかとか、いかに貴族主義的であったかとか、そこら辺の予備知識があるだけに余計にしんどい。枢軸国側の駆け引きが多分にあった上ではあるけれども、極東の島国がよくもまあヨーロッパの歴々と渡り歩いて日本にオリンピックをもってこれたもんだという驚きは普通にデカい。ってかこういう日本人が行った海外との折衝の評価をみると、逆に今の日本の外交の意味の伝わってこなさにビックリするよなあ。そーか外交ってやっぱり重要だったのだなーという感じ。あとは予想通り国際主義と国家主義の狭間でオリンピックが翻弄される話でもあって、するとあのロゴの象徴性はやっぱり大変納得がいくのだった。

しかしなあ、単なる「祭り」となってしまうことを警戒する描写とか、国際社会への信義を果たすために何が何でも成功させなければならないとか、今も身につまされる描写が多すぎてなあ……

ハベナリア荘『ぽんこつのみるゆめ』

知り合いに誘われて観た演劇。最近色々アイドルづいていて、結構面白い鉱脈だなー観なければなーと思っていた所なので色々興味深かった。

ストーリーは売れない地下アイドルグループが解散の危機に瀕し、メンバー一丸となってフェスのトップを目指すというまあベタベタなヤツで、頑張って山谷を作ろうとしているのはわかるが、基本的に予想した展開を予想通りになぞる感じ。メンバー同士の対立が緊張感を持たせるつくりになるべきなのだろうけれども、それぞれのキャラクターがイマイチ愛着がもてないというか、「こういうキャラクターならこう行動してしまうよね人間だからしょうがないよね」みたいな共感を抱く以前に、誇張されたダメ行動を取ってしまうのでちょいと辛い。せっかく「つながり」みたいなグッとくるワードがあるのだけれども、そこをもうちょいリアルな女性同士のジリジリで描いてくれたら結構のめり込み方が違うのではないかなあと思った。

あとそもそもそんなに舞台を見るわけでもなく、また100人くらいの箱もなかなか未体験なので、そこら辺も面白かった。腐ってもアイドルなので挨拶くらいは腹式でピリッとやるのかなーと思ったがそういうこともなかったのはあの箱に合わせたってことなのかしら。色んな都合と試みで同じセットを3劇団で使うという試みみたいだけれど、この劇団に関しては右のダベリスペースと左のアクションスペースのバランスが悪くてもったいないなーという感じはした。全体的に右に比重が寄ってしまっていて、左でのアクションとか権威付けとかをもう少し上手く使えたら面白いのでは? とか。