ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

ベルベット・ゴールドマイン

 

ベルベット・ゴールドマイン [Blu-ray]

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ショッパなっから時空を飛ばしまくっててオスカー・ワイルドとかよくわからんしこれどうなってしまうの? と思ったけど本編はまあまあちゃんと追いかけられる感じで一安心であった。とはいえ時系列は入り乱れるし主要登場人物は複数人いるしでちょっと追いかけづらい感じにはなっていて混乱することもしばしば。ちゃんと話を追いかけられたのだろーか。正直こういう語り口は苦手。

ストーリーは過去にあったひとりの伝説的歌手の軌跡を追いかける、という体でありながらも結局の所語り手のアイデンティティを辿る話になってそれはそれで好感。狂言自殺の下りなんかを軸にいかにもありがちなドラッグセックスロックンロールの話にもできたんだろうけど、こういうやり方の方がこのテーマだったらしっくりくるよね。っつーかむしろラストの伝達が行われる話でようやく「あーなるほどそういう落とし方か」と納得する感じ。

ファンタジーシーンを含めて色々見所はあるけれども、まあマックスウェル・デイモンのカリスマが全部を繋ぎ止めているわけで、そういう描写はしっかり説得力があって良い。でもあのズームは笑うなあ。重要シーンでここぞとばかりに炸裂するズーム。アレはアレで時代感あっていいけど。

マルティンと鳥

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うーん、うーん、うーん。コメディというか全編で皮肉っているのだろうけれども、自分にはどうも全然笑いどころがわからんというかなんというか。そもそもこの国ってどこ? ウルグアイなの? がどのような国の状況なのか良く知らんし、だから政治的なあれやこれやにも全然ピンと来ないのが問題なのかしら。バックグラウンド知ってたら笑えたりするのかなあ。なんか絶望的な笑いのセンスの差を感じるなあ。もう少し細やかな視点を手に入れたい。

ラストは急激に話がドラマティックになって、その落差があまりにも急で面白いけれども、この尺を見てやることなのかなあとも思うし。主人公の成年の立ち位置ももう少し象徴的に見ないとラストシーン含めて意味がわかんなくなるなあとも感じるし。しかしなあ、全編「んー、なんなんだろ」と考えるうちに終わってしまったなあ。

こういう映画がちゃんと楽しく見れるようになりたいなあ、と思いました。

マジェスティック

 

マジェスティック [Blu-ray]

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フランク・ダラボンの映画が全然合わない私、まあ『ミスト』やら『グリーンマイル』みたいな映像・演出に対する違和感はそんなになかったけど、この映画もやっぱり根本の所で乗り切れないモノを感じるのだった。

いやだってさ、裁判パートでも失笑が巻き起こっているけど、「偶然赤狩りで裁判を控えた人間が」「偶然事故に遭って記憶喪失で」「偶然似た人間が帰ってこない街へやってくる」という三重の偶然性をそのまま受け入れろ、それが物語の前提だ、というのは自分には絶対無理。なにその感動の物語を創りあげるために積み上げられたありえない偶然。普通物語ってその偶然がいかにして「ありえるかも」って納得いくように細部を積み上げていくモノでしょう? それを合衆国憲法の誇りで上塗りしようとしたって、私そんなのこれっぽっちも乗れません。『ショーシャンクの空に』でも「あー感動のために色々創りあげられてコントロールされてる世界だなあ」という感想が鼻についてダメだったけど、この映画はさらにそこら辺のコントロールがひどいことになってるよなあ。実はハリウッドで脚本家になる以前に戦場で記憶喪失になってて、みたいな話にするのかとドキドキしちゃったよオレ。だってそれ以外この偶然性を納得させる方法なくないですか? だって映画好きまでかぶっちゃってんだよ? 感動のためにならここまでストーリーを都合良く操作して良いの? マジであり得なくない?

あと、映画を中心に据えており、主人公が脚本家であり、成り代わりの物語である、という虚実をテーマにせざるを得ない内容にもかかわらず、クライマックスの決断が虚が実に救われるような展開になっているのはマジでちょっとあり得なくないですか? 現実がありえべからず非情さをもって迫るとき、それに対抗すべく語られるのが虚構の物語なワケでしょ? あそこで主人公が脚本家スキルを発動させて問題を解決しないのは物語構造から導かれるテーマを見誤っているとしか考えられない。ってか、あんな超ベーシックな論理で覆される赤狩りってどんだけ薄っぺらいのよ?

いやほんと、フランク・ダラボンの映画は合わなくて困ります。

ベイビー・ドライバー

www.babydriver.jp

うーん、エドガー・ライトだなあ。すばらしいなあ。アントマンもこのノリで見たかったなあ。

名人芸って感じの映画。音楽ガンガン流して銃撃戦とかで銃声に音楽合わせたりちょっと面白い表現もやっているけれども、スコットピルグリムとかに比べれば全然普通だよね。いやそれよりも音楽に合わせた長回しとかカーアクションたっぷり見せたりとか、今更映画っぽい映画をちゃんとやってて笑う。話の展開も、キャラ性の強さにあるしつこさはありつつも、意外な展開もお行儀良く入れた安心して見られる内容。何よりこの監督の奇をてらわないラブストーリーを見れてああ幸せな映画だったなあって思いますわ。あまりにストレートでこっちがちょっと恥ずかしくなってしまうような。いやー、ほんと素晴らしいなあ。

いやー、なんかちゃんとしすぎててなんも言うことないなあ。脱出が1度失敗するあとの緊張感からあっさり死ぬ展開の意外性とか、そこから急激に立っていく敵キャラとか、主人公がそれでもテープを取りに帰らなければならない理由とか、自分の育ての親との対峙とラストの立て方とか。車落下後に敵が復活する展開とかホントベタベタで笑っちゃったもん。それを大真面目にやるエドガー・ライト。いやあ、素晴らしいなあ。

なんだろう、劇的に他人に薦めるポイントがあるかといわれると微妙なんだけど、でも10年後も思い返して「良い映画だったなあ」という感覚がはっきり残ってるような、そんな映画でした。

しんぼる

 

しんぼる [Blu-ray]

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スイッチを押すと何かが起こる、でもなにが起こるのかはわからない、というのは昔そういうゲームもありましたけど、その仕組みだけで注意を惹きつけることができる悪魔の装置ですね。この作品もボタンを押す因果関係で面白いアイディアはあまりなかったし、「いやどうせ全然期待を煽られて不満を抱くだけだから」って思いながらもついつい結果を見てしまう。その因果関係の不明瞭さをどう愉しむかがこの映画のポイントなんだろうけど、後半の飛躍を含めてどうもなあ、全然好感が持てないなあ。

と考えているうちに、もしかしてこれ主演が板尾創路だったら面白かったのじゃないだろうかとか思い始めたらラストの展開が面白くて堪らない。板尾さんが未来のスイッチを押したらもうそれだけでわくわくしますよね。変なカツラを被ってみても、松本人志は松本人志って感じで、神々しい演出も押しつけがましい印象が強すぎるんだよなあ。

あー、つまりあれか、スイッチを押す期待と同等以上に、その結果に対して役者がどんなリアクションを行うかを期待する構造になっていたら……ということなのかもしれない。松本人志のリアクションって基本的に実直で、スイッチの結果へのリアクションが予想の範囲内というか、むしろそのリアクションをどれだけ誇張するかしか振れ幅がない感じ。どれだけ叫ばれても全然面白く感じなかった。受け身というよりも主導権を握っていくタイプだから、まあ演出が全然乗り切れないけど、でも脳内シミュレーションやってた方がまだそれっぽいイメージ。でも板尾さんがやっていたら……うーん、顔の微妙なリアクションひとつで爆笑できる自信がある。いやー、見たいなあ板尾創路の『しんぼる』。

ハッピー・ゴー・ラッキー

 

ハッピー・ゴー・ラッキー [DVD]

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サリー・ホーキンスってなんか印象に残る役者だよね。そんなにこの人の出ている映画ばっかり見ているわけじゃないけど、でもなんかこの顔印象に残るんだよなー。

なんて思って見始めた本作ですが、いやー、ザ・サリー・ホーキンス劇場って感じですね。終始この主役のゲラゲラ笑いに付き合っている感じ。最初自転車盗まれたところで「お別れの言葉も言ってないのに!」というポジティブシンキングが出た瞬間もう参りましたって感じ。アンタはサーバルちゃんか。いやしかし次のシーンでハッパ? でゲラゲラハッピーでルームメイトのおっぱいの谷間にコンニチワーしてるのを見て「あれもしかしてサーバルちゃんってハッパでハッピー? じゃぱりまんってそういう食べ物?」なんて疑問が浮かんでしまうくらいでございました。

いやまあ面白いのはこの終始ゲラゲラ笑いの人が笑いをなくしてしまった瞬間で、フラメンコのシーンもそうだけど、中盤の謎のホームレスシーンでは突然始まる謎の緊張感にメチャクチャギョッとするし、もちろんクライマックスの教習逆ギレシーンのお芝居も素晴らしい。見入る見入る。

いやまあ映画一本通して考えるとそんな好きでもないんだけど、サリー・ホーキンスは好きになる映画だよなあ。あとソニックがどうなったのか気になる。

俺が主人公じゃなかった頃の話をする

 

俺が主人公じゃなかった頃の話をする (MF文庫J)

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なんかよくわかんないけどKindleで購入してあったのが棚の下に埋もれていたので読んだ。なんだこれ。すげえ懐かしいぞ。というのも以前自分は新刊を内容とか関係なくテキトーに買い漁って読み漁っていた時期があって、そういうときに当たるどーしょーもない美少女ラノベってこんな感じだったよなー、という既視感がすげえ。どうでも良いヒロインがどうでもいい異能バトル繰り広げて主人公がツッコミというおもしろ会話テクニックを使って変なヒロインと向き合って中途半端にメタっぽい視点が入っていて、というアレ。いやあ久々に読むとどうでもいいね。本当にどうでもいい。まあコレって世界観の衝突というか主人公がどのヒロインの世界を信じるの? というジレンマが物語の根本を支えているんだけれどもまずもってそのジレンマがどうでもよくてそれが致命的。どのヒロインの話が正解でも読んでてなんにも思わない。もうちょっとほら、それぞれの世界に思い入れを抱かせてからひっくり返すとかあるじゃないですか。最初からヒロインの保つ世界観が相対化されることが前提というか、いかにもメタっぽい地点から物語が語られるもんで、起こっていることに全然興味が持てない。まあタイトルから主人公が自分を主人公と言っちゃってるわけで、そういうメタの視点を物語に入れ込んだだけで一本何か作品を創っちゃおうというのは今もちょくちょくあるとは思うけど、でもなー、これは本当にどうでもいいなー。こういう作品って今も量産されてたりするんでしょうか?