ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

トゥルー・クライム

 

トゥルー・クライム [Blu-ray]

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イーストウッドはホント、老いる映画をたくさん撮っていたんだなあ……

今ではギョッとする主人公のキャラ造型で、セクハラだの嫌煙だのの描写も今の基準から見れば明らかにネガティブなんだけれど、そういうネガティブな印象に「ポリコレ行きすぎ」とトランプ支持したクリント・イーストウッドのどうしようもない人間臭さが香ってくるようで大変よろしい。政治的に正しい映画を撮ることにはたぶん意味があるのだろうけど、政治的な正しさに忌避感を抱いている映画を撮ることにもきちんと意味はあるよなあやっぱり、などと思う。

とはいえ映画はクリント・イーストウッドの描く娯楽作品という感じで、ラストの無理矢理作ったドキドキ時間サスペンスは思わず笑ってしまう。死のカーブでドリフトなんて腹が痛くてたまらなかった。まあそもそもが半日であの事件の謎を解決してしまうというスーパー展開がとんでもないんだけど、エンタメを成立させるためにスーパーショートカットで孫の罪を認める黒人とか、いやあメチャクチャでしかし有無を言わせぬ説得力のある脚本だよなあ。

あとはなんといっても脇役で、編集長と刑務所長のふたりが大変印象深い。刑務所長の指先の震えひとつで人間を見せちゃうあの描写とかも最高に素晴らしいけれど、編集長とのキレキレ会話もたまんねー。あの丁々発止ができるだけであのふたりの関係性と有能さがバッチリ印象づけられちゃうもんなあ。