読むのが遅れてしまったのが悔やまれる。本当はもっと広く文化史的なものを想像していて、だから後回しにしても問題ないと思っていたんだけれども、実際読んでみるとデータに基づいたAVの研究みたいな内容で、それはそれでめちゃくちゃ面白い。新版も出ているみたいだけれども、情報が10年前くらいまでのもので、そこから先のAVの歴史をどのように描くのか、すごく興味がある。
でもなー、時代の中にドップリ染まって生きてきたから、そもそもそういう業界全体の流行とか歴史的発見とか、そういうの全く見えないもんだなー。「男の娘」の章は、わりと好きなので変化をそこそこ見ていたつもりだけれども、AV業界ではニューハーフの流れから、勃起の有無で差別化が行われていたとか、言われてみてようやく納得したよ。フィクションの概念をそのまま実写に移した、とかでは全然ないのね。そしてまあ、その転換点に「堤さやか」の名前が出てくるとか、なんかもう懐かしさで意識が飛んじまうよ。
しかしこうやって見ると、ことある毎に名前の出てくるソフトオンデマンドと高橋がなりってのはすげーキープレイヤーだったんだなあ、と思う。潤沢な予算を新しい挑戦に突っ込める環境があるってのは、やっぱりジャンルを豊かにするんだなー。