ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

NOPE/ノープ

 

NOPE/ノープ [Blu-ray]

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  • ダニエル・カルーヤ
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うーん、見事な脚本だなあ……メタ構造を用いることで、見ること・語ることの暴力性を大変明瞭に示していて、ここまでちゃんとやられるとなんか一周回って嫌になっちゃうね……まあ、この映画はオレの読解力がようやく追いついたってだけかもしれないけど。『ゲット・アウト』とかよくわかんなかったしなー。今見ると全然捉え方違うのかしら……

色々面白ポイントはあるけれども、やっぱり冒頭の「空からコインが落下して死亡」という無意味な死が、スクリーンを通して表現されると、「何らかの意味を付与されてしまう」という、物語そのものが持っている業のようなものが、全体を覆っているのが、大変よろしかった。それはもちろん「映画」という表現形式が孕む性質で、だからこのミステリな作品が吸引力を持つわけだけれども、しかしそれは同時に人間の世界の認知の仕方でもあるわけだよね。だからこれは、ある意味で現実に起こった出来事を、我々は物語にして認識せざるを得ないという、原初の衝動と、そしてそれが招く災厄みたいなところも表現しちゃってるわけだよなー。あの事故がなかったら、もしかしたらこんな被害を受ける前に、さっさと逃げ出しちゃってたかもしれないわけでしょ?

黄色人種の描き方・女性の描き方・カメラマンの描き方、それぞれがもうやり過ぎ! というくらいにしっかり表現されてて、ちょっと不思議なリアリティの映画だけれども、その不思議さもまた飲み込まれてしまう構造になってるよなー、と思いました。