冒頭の移民船から明らかにアメリカの話をやる気マンマンで感心してしまった。『私ときどきレッサーパンダ』もそうだったけれども、やっぱり後ろに現実の出来事が敷かれているのは安心するし感心するよなあ。子ども向けのアニメでありながら親も楽しめる作品ってのは、こういう風に作るわけね。ラストではちゃんと、親の子離れの話であることもストーリーで示されて、まあ本当に良くできた話だよなあ。
あと大人向けという意味で言うと、今回の作品は物凄く恋愛映画としてちゃんとしていて驚いた。もちろん、外的なアクションなんかもかなり良くできているんだけれども、作品中で感心させられるのは、そういったストーリー展開とは関係ない細やかな仕草だよねぇ。リンゴの収穫の後、お互い顔を見合わせて笑うところとか、いやー、良く描写できてるなーと思いました。
恋愛パート以外にもそういう細やかな芝居は効いていて、水の父親が火の子の言葉の美味さを褒めるところ、明らかにアメリカの移民に対する反応をベースにしていて、「あー……」となるよね。そのシーンの有無でストーリー展開が大きく変わるわけじゃないけれども、この映画が現実と地続きの問題に取り組んでいることを雄弁に語っていて、とても重要なシーンになっているなあと思いました。