出来事を順繰りに追いかけたドキュメンタリーなんだけれども、序盤から亡くなった人の思い出が丁寧に語られるのが結構辛い。本人が出てこないというのは恐らく……というメタ読みで、生存者の感情に寄り添ってしまう。やはり事実というのは凄まじい引力を持つものなのだな、真摯に向き合わなければならないものだな、と改めて思う。
しかし複雑な心情に陥るのは、ファカアリ島が無人島で観光のための場所である、ということだよなあ。火山の麓に住むのとはちょっと違って、あくまで観光資源としての場所で、しかも「いずれ噴火するかもしれない」ことが十分に予測できた場所だからなあ。山登りであれば、そりゃまあそれぞれが自分のリスクを十分に理解して……ということになるのだろうけれども、こういう観光のアクティビティみたいなところでこのくらいの安全性というのはなかなか厳しいなあと思う。
語られるエピソードはそれぞれ痛ましいし、心に響く。噴火後に政府が下した決断というのは確かに大変難しいものだろうけれども、しかし状況がわからないうちに動いて二次災害が起こるという危険性を考えると、コロナで有名になったあの首相でもそういう決断を下さざるを得なかったんだろうなあ。自分の判断で動いたパイロット達が英雄として描かれているけれども、まあ紙一重の行動ではあるよな……
それにしても、夫婦で火傷の手形がついているエピソードは本当に凄まじいなあ。どちらも命が助かって、本当に良かったなあ。