うーんHPVウイルスの問題に功績があった人、というのはわかるし、あと加えてこれが去年の夏前に出た本であるということもさっ引かなければならないのだとは思う。思うのだが、全体的にこういったセンシティブで正確性が求められる内容について、個人の感触やほのめかしで語られている部分の印象が強すぎて、はっきり言って信頼できない。「Pheic」が「Fake」と同じ発音だとか、そんな何の意味もない偶然を、感情を煽るための印象づけとしてつかっているのとか、ちょっと有り得ないなーと感じる。
もちろん反ワクチンの人々に対しては科学的正確性だけでは意味がないので、運動を実践したからこそこの筆致になっているのだろうなあというのも理解する。理解するのだが、しかしこの事実に対しての検証が現在進行形で進んでいた時のそういった振る舞いに関しては、はっきり不審感しか抱けない。もう少し客観的で冷静な筆致が読みたかった。
最後の章のアビガンについては、自分も当時から出て来る情報にめちゃくちゃ違和感があったし、バックグラウンドを知ることが出来て良かったのだが、だったらもう少し「情報が確定しないうちに期待を煽る見せ方をした政府やマスコミは情報発信という意味で誤っていた」とすべきだと思う……んだけど、この人には無理か。だってこの人自身がそういう感情を煽る言論に、同じような扇情的な文章で対抗してるんだもんな……