ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

キングスマン:ゴールデン・サークル

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冷静に考えるとストーリーは雑だよね。前作の階級を超える成長物語という基本線やら悪役の虐殺器官大作戦やらは、作品を物語で強く牽引していて、イギリスのスパイがアメリカのIT長者をブッ倒すみたいな構造がメチャクチャ強固だった。一転、本作品はキングスマンがやられてステイツマンが登場、結果キングスマンの立場が相対化されるはずの構造なのに、ステイツマン側からのメインキャラクターの強度がなくて対比も全然上手く行っていない。悪役も今時麻薬カルテルの親玉って、まあハリウッド的に麻薬に対する扱いはどうなってんのか知らんけど、少なくとも前作のSF的なワンダーはない。『アメリカン・グラフィティ』とか見た目だけで採用するくらいだったらもうちょっとステイツマンの出自含めてもう少し頭良く作るべきだったんじゃないの? 悪の親玉がイギリス側でアヘン売ってて、それを黒人お姉ちゃんと暴きにインドでも行った方が良かったと思う。

思うんだけどまあそれは冷静に考えるとというレベルで、映画内で冷静に考えさせなかったらそれは成功だよなー。何しろアクションの質が大変高い。正直『キングスマン』の時はアイディアが足りないなーと思っていたんだけど、今回は激しいアクションの間にいちいちアイディアを活かして詰め込んでとてもよろしい。大ネタだけではなくて、ハサミで串刺しみたいなところまでちゃんと意識が行き届いていて素晴らしい。冒頭のカーアクションのデキは出色で、最近だと『デッドプール』の細かいカット割りででもなにが起こっているのかをきちんと伝えるアクションも最高だったけど、前作に引き続いての「カメラがアクションする」キングスマンカメラでのアクションもとても良く撮れていて、うーん、車はまだまだ魅力的に撮れるんだなあと大変感心させられました。まーせっかくお約束の雪山謎の施設に行ったんだから、ゴンドラはもうちょっとアイディア欲しかった気もするけどねー。