ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

夜明け告げるルーのうた

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ルーが大変魅力的に描けており、いやまあ湯浅監督だしイノセント幼女描かせたらそりゃ普通に強力だよなあと事前に心構えして行ったのだが、もう見下ろしロリコンアングル一発でやられてしまったので私負けましたわな気分。もうそれだけでいいんじゃないかなあコレ。
たぶん作品内でのリアリティコントロールは失敗していて、いきなり序盤ド田舎のしんどいリアリティをベースに物語が始まりながらも、登場するキャラクターの造型やら芝居やらがイマイチ地に足着いてなくて、そのギャップが大変深刻。なところにスーパーな存在であるルーが闖入してくるわけで、普通は現実世界の外からやってきた異物、になるはずが、あんまり両者のギャップが上手く描けてないのよねー。どういうレベルで物語を受け取って良いのか大変困惑していきなり大いに躓く。

田舎の過疎問題みたいなどーしょーもなくリアリティを必要とする出来事は、しかしうまく消化されることなく、最もキーになるはずの主人公の物語は最後まで駄々滑りしているわけで、やっぱ脚本上の敗北であるよなあたぶん。ディテールはめちゃくちゃ上手いんだけどなあ。
でもだからといって映画がつまらんかというと全然そんなことはなく、湯浅スーパーアニメアクションの前では「父が娘を助けに危険に身をさらす」ってただそれだけを描くだけで泣けてしまうんだからまあやっぱりズルいよなあ。全然感情移入なんてできないはずのラストシーンでも、なんだかんだ音楽と下手な歌が流れるとおおおおって感動してしまうようになっていて、うーん、物語はともかく演出という意味では結構成功してしまっている感じ。大変悔しい気分である。まあ人形への恨みが反転するシーンは結構根源の情動を揺さぶる展開にはなっているもんなあ。でもなあやっぱりなんか騙されてる気がするんだよなあ。『サマーウォーズ』みたいな善し悪しを超えた許しがたさがある。