ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

メロディ・リリック・アイドル・マジック

 

うーん最高。石川先生本当に上手い。上手すぎてもうぐうの音も出ない。すごい。

何がすごいってリリックで、もちろん元々言語センスが図抜けてるなーと思っていたし、キャラクターの掛け合いや内心の声でこれでもかと連投される面白ワードはもうただそれだけで小説を読む快楽を思い起こさせてくれるんだけど、それより何よりリリックがすごい。音楽小説において音楽をいかにして読者に伝えるかというのは常にテーマであるのだろうけど、音楽は視覚表現として現すことである意味バッサリと切り捨てて、クライマックスは「初見のアイドル曲の歌詞」とそれを歌うヒロインの内面描写で乗り切ってしまおうというその大胆さ! すげえ! 信じられねえ! 好きな曲なんて普通何度も何度も曲を聴いているウチに歌詞がジーンと響いてくるのが普通で、曲を聴かずに初見で歌詞カードだけ見てもいまいちピンとこなかったりするじゃないですか。それが当たり前じゃないですか。それを。それを。この作家は、初見の歌詞で感動呼び起こそうって試みて、しかもそれたぶん成功しちゃってるんです。でもってそれは、この作品の大体の効かない唯一の支点として物語上機能してるんです。いやあいやあなにこれ? 信じられん。マジで意味わからん。ほんと、もうちょっと売れて欲しいよなあ……

唯一ケチつけるとすればたぶん挿絵で、いやまあきちんと世界観のある絵柄だしキャラも可愛く書けてるんだけど、アイドルってもう少し会場の広さとか観客席との対比とかで成立するものとして描いた方がいいのかなーと、イラストを見て気づかされました。

 

あ、あとこっからは全くの余談なんだけど。

百合とアイドルの関係性ってどう捕らえれば良いのかなー。いやもちろんコレをある種の百合と捉える人がいるのはもちろんわかるしそれはそれでアリだと思うんだけど、オレにとっては全然百合ではないんだよなー。百合もアイドルも一瞬を永遠に切り取るような働きがあるのは理解しているつもりなんだけど。うーむー。

ということを考えるとそもそも百合がなぜ他者を必要とするのか、みたいな所を考えねばならぬのか。そうか老いていく運命があることと、同性の他者を求めることには、表面上なんの関連性もないもんなー。極端な意味づけをすれば、それは母親になり生命を繋ぐことへの拒絶、なのかもしれないけれど。

ということはアレか。成長がポイントなら、アイドルは卒業があることがアレなのか。しかし学校にも卒業あるか。ついでにメンバーが入れ替わっても組織として機能し続けるなら、それはモー娘。的なアイドルと類比関係だよなあ。

わかんねー。母娘の関係とか絶対重要なはずなんだけど、そこら辺の肌感覚はサッパリ理解できねーからなー。1回ちゃんと百合の本とか読んで考えてみようそうしよう。