ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

二流小説家

 

二流小説家 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕

二流小説家 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕

 

いやー面白い。面白いんだけどこれ別に推理小説の面白さじゃないよね。基本的なトリックはカンが良けりゃなんとなーくわかるし、最後の事件の解決とかも表面上はあんまり意味がない。

かといって信頼できない語り手的な部分にそれだけ興味があるかというと、なんかそこに迫っていく読み方に興味が持てないというか……いやもちろん小説家が主人公の小説という表現そのものに迫る物語であり、作中作もバンバン入り、ならばメタフィクション的な枠組みに興味が惹かれるべき、なのだろうけど、いやあすいません僕はなんだかんだ言ってこの小説の通俗的なところに目を奪われて楽しんでしまいました。いや心底楽しんでしまいました。

だから怒りもひとしおで、おいおいなんなんだあのクレアの退場は! とか思ってしまいます。あんな最強フェティッシュ少女出しておいて、途中で怖くなって退場とか本当にちょっと辛すぎて辛い。ラストにメール一発でアリバイ作りかよ、と思ったけどそのメールの文面も本当に良くてつらい。つらい。

いや作品中にバシバシはいる作中作、あれあんま意味ないじゃん! っていうのもわからなくはないんだけど、自分むしろああいう物語の断片の方が好きで、いやはやずいぶん幸せな読書時間でありました。