ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

僕だけがいない街 1~8

 

僕だけがいない街 コミック 1-7巻セット

僕だけがいない街 コミック 1-7巻セット

 

 

「失ったもの(あるいは失うもの)」を取り戻す、という今作のテーマはループ回数を重ねれば重ねるほど軽薄なものになっていく。ループをゲームのルールの段階まで落とし込みすぎることなく、物語を盛り上げるためのガジェットとして割りきり、所与の制限の中で最大限ドラマを盛り上げようとするこの物語の方法論は全くもって正しい。

残念なのはミステリとしての完成度で、犯人の正体を明かす展開は余りにあからさまで拍子抜けしてしまった。最終版の推理合戦などは前半のとんでもないサスペンスと比べれば大幅に見劣りするように思う。あのような特異な犯人を出した以上その内面に切り込まなければ筋が通らなかったのかもしれないが……

また、『アイアムアヒーロー』を観た直後だからかも知れないが、主人公の成長が冒頭と繋がって見えないのがとても惜しい。繰り返しの中での成長シーンは大変感動的であったが、非日常のまま現実に戻ってきた主人公が、冒頭の冴えない主人公と隔たりすぎていて、それはそれで狐につままれたような感じを受けるのだった。