- 作者: 新井円侍,mebae
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/11/28
- メディア: 文庫
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あーうん、これ面白いわ。大賞とっても良いじゃん! と思う。
なんというか、これ、まっとうにちゃんと面白いライトノベルなんじゃないかなあ。前に大賞とったハルヒはもう色眼鏡かかっちゃってるけど、考え直してみると小説単体でそれほど興奮を覚えた記憶はないんだよなあ。
むしろ小説の時点でこれだけのプレッシャーをかけられて、ちゃんと面白い小説なのに「でも大賞あげるのはねえ……」とか言われるのは、うーん、不幸な気がする。
この大賞には表紙からして最近の「キャラ偏重」に対する意思表明があるように思えたのだった。
最近ヒットした一連のアニメ原作ラノベって、明らかに「ストーリー」より「キャラ」が前面に出てて、きっとそこがヒットへの突破口になってると思う。ところがこの作品のヒロイン、商品としてのキャラの魅力が足りないように感じられるんだよなあ……
無論それを補うだけのストーリーと筆力が作者にはある。丁寧に重ねられていく恋愛描写によって、読了後はちゃんとヒロインに魅力を感じられるようにはなっていると思うんだけど……
なんかこう、それでもコレに大賞を与えちゃう角川スニーカー文庫編集部が、これからストーリーに揺り戻しをかけるぞ! という決意表明をしているように見えたのは、自分の妄想かなあ。願望かなあ。
(まあしかし、コレがホントに売れるの? というのとは別問題だ。キャラクターはやっぱり商品として強いワケで、もう少しサービス精神があっても……とは思わなくもない)
なんかとっちらかった文章になってしまった。
でも良い作品は良い作品ということで、まず祝福されるべきだろう。
とにかく、まっとうに面白く、心が締め付けられるような恋愛小説でした。作品全体がふたりの恋愛を中心に回っていて、求心力がすごい。描写も細やかで、読みながら何度も溜息が漏れました。