ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

グラン・トリノ

グラン・トリノ [Blu-ray]

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自分には田舎に農業高校出身で学年を仕切ってた実家住まいの弟がいて、そいつのフェイバリット映画は「ロッキー・ザ・ファイナル」とか「ランボー/最後の戦場」とかなんだけど、そいつが突然
「『グラン・トリノ』ちょーおもしれーぞ!」
とか電話かけてきたので何事かと思ったんだけど、あーうん。納得。

ものすごくシンプルで、でも、だからこそ力強い映画。

以下雑感。
クリント・イーストウッドの魂籠もってるなあ……。なんか山田洋次みたいだ。
・「ヒーローが悪を倒す!」のがすでに嘘くさくて通用しなくなってるからって、「みんなで協力して奇跡を起こす!」だって充分に嘘くさいんじゃねーか、という視点。
・この映画でことさらシンプルに、でも美しいものとして描かれている「継承」の概念は、きっと、今の時代の物語に必要とされてくるようなもの、のような気がなんとなくしている。縦軸を失ってしまった現在の物語に対する、クリント・イーストウッドの異議申し立て。
・混じり合う文化を「好きになれ」というのでなく、全て「異なるものとして認めろ」というのでもないこの映画の主張は、とても真摯なものに感じられる。それにはたぶん、自分の息子でさえ「こちら側」と捉えられない、孤独な人間としての主人公像が、とても効果的に機能している。あそこで語られているのは、すでに文化や血が分ける対立ではないのだ。
・そして贖罪たる死。継承される意志。海沿いの道を走っていく「グラン・トリノ」。いや、やっぱりいい映画だわ。
・でも映画を観ていて一番ショックだったのは、「自分が車を持つという行為に全く、なんの意味も見いだせていなかった」ことだった。これは、ちょっと、地味にキツイ。