- 作者: 大崎善生
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/05/07
- メディア: 文庫
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毎週日曜朝に起きてれば必ずNHKの「将棋の時間」見る程度は将棋ファンである自分だが、しかし何でまたこの本を今まで読んでなかったのかなあ。
序盤はちょっと創りすぎな感がしてどうも……って感じだが、それでも小池重明とかが出てきちゃったところとかは身体が震えて止まらないし、灘蓮照が出てきたときは「どひゃー!」とのけぞってしまう。棋士のキャラクター、というか格付けを知っているとたぶん五倍は楽しめる。
だがこの小説が本当に輝くのはやはり後半、筆者自身の体験が作品内に反映されるようになってからだろう。わかりやすい意味づけもなく、ただただ人間くさい村山のエピソードがかえって胸を打つ。
「前提知識がネックとなるラノベで将棋を描くなら、舞台をネットとか新しい場所にした方がいいのかなあ」なんてぼんやりと考えていたけれども、いやはや、棋士たちの強烈な個性を見るとこれを生かさないのはもったいないわ。